計画分娩(読み)けいかくぶんべん(その他表記)elective induction of labor

改訂新版 世界大百科事典 「計画分娩」の意味・わかりやすい解説

計画分娩 (けいかくぶんべん)
elective induction of labor

陣痛を誘発し,分娩の終了を計画的に行うこと。分娩は多くの場合,異常なく経過するものであるが,ときに突発的に大出血を起こし,母体死亡にいたることもある。そこで人手が多く,輸血など緊急に必要なときは,いつでも運べる昼間の時間帯に分娩を終わらせるよう計画的に出産させる。これが計画分娩で,この意味から日中分娩とも呼ばれている。計画分娩では,1日の時間帯のみでなく,人手不足となる日曜,祝祭日など休日を避けるためにも行われる。なお計画分娩を実施するには,(1)児が成熟していること(したがって妊娠37週以後に実施される),(2)子宮筋の感受性がたかぶって,容易に収縮しやすいこと,(3)産道が柔軟になって,ある程度児の先進部が骨盤内に深く嵌入し,産道が開大しかかっていること,など分娩にたやすく入れる態勢になっていることが必要である。このような態勢下では分娩の経過も容易なことが多い。計画分娩では,ほとんどの場合まだ陣痛前の入院であるため,入院当日生まれることは少なく,多くの場合,翌日か翌々日となる。母体ならびに胎児への影響は十分な態勢下で実施されるならば,なんらの障害なく,正常産と同一と考えてよい。また分娩経過は個人差がかなりあるために,必ずしも予期したように日中の出産になるとは限らず,夜間になることもあるが,午前1時ころから5時ころまでの最も連絡のとれにくい緊急時の出産例は明らかに少なくなっており,産婦の危険度も減少する傾向にあると考えられる。なお一般に分娩と出産は同義語と解されているが,計画出産birth controlという用語は計画分娩とはまったく違う概念で,これは,一家庭の将来像を考えて,子ども人数や出産間隔,時期など合理的に計画し,受胎調節をする家族計画のことをいう。
出産
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出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報

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