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計算物理学 けいさんぶつりがくcomputational physics

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

計算物理学
けいさんぶつりがく
computational physics

解析的に解けない物理の方程式を、コンピュータ(電子計算機)を用いて数値的に計算して物理現象を再現・検証する学問分野。計算物理学は、理論やモデルに基づいて探求するところが理論物理学に近く、またコンピュータによる計算データを分析するところは実験物理学に近いが、そのどちらでもない第三の物理学とみなされ始めている。なお、計算物理学において、コンピュータを用いて物理的性質を直接計算する手法を「計算機実験」という。
 以前からレンズ設計における光学計算にコンピュータが使われていたが、その能力の飛躍的な向上、とくにベクトル計算を行うことができるスーパーコンピュータの登場により、大規模な物理現象に計算物理学が適用されている。初期には、流体力学の計算を大規模に行い、気象予報の精度向上や、実物による風洞実験から計算機風洞実験への置き換えが行われた。その後、固体物理学での新たな結晶構造の解析、素粒子物理学での量子色力学を使った素粒子の運動の解析、宇宙初期における密度ゆらぎが重力によって成長し宇宙の大規模構造へ進化する宇宙物理学の研究などに対象が広がっている。[山本将史]

出典|小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について | 情報 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

計算物理学
けいさんぶつりがく
computational physics

物理現象を,コンピュータを用いた数値計算によって研究する物理学。計算機実験ともいう。従来の理論物理学実験物理学の枠組みと並び,コンピュータの進歩によって新たに加わった第3の物理学とされている。理論から導かれる方程式を解く方法では,対象の複雑化に伴って方程式も複雑になり,人力で解くことが難しくなるが,スーパーコンピュータによって複雑な方程式でも数値的に解けるようになり,強力な思考実験が可能となった。さらに,原理だけをコンピュータに与え,コンピュータに実験をさせる手法も量子力学の分野で開発された。

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