詣で来(読み)モウデク

デジタル大辞泉 「詣で来」の意味・読み・例文・類語

もうで・く〔まうでく〕【詣で来】

[動カ変]《「まいでく(参出来)」の音変化》
貴所貴人もとへやって来る。参上してくる。
「小野ふさもり―・きて、まうのぼるといふことを聞きて」〈竹取
勅撰集などの詞書や、改まった会話消息に用いる)「来る」「やって来る」の意を聞き手に対し、かしこまり丁重にいう。必ずしも、来る場所を敬っていうのではない。まいります。やってまいります。⇔まか
「あひしれりける人の(私ノモトヘ)―・きて、かへりにけるのちに」〈古今・春下・詞書〉

まで・く【詣で来】

[動カ変]もうでく」に同じ。
「右の大殿よりいと恐しきことの聞こえ―・しに」〈夕顔

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精選版 日本国語大辞典 「詣で来」の意味・読み・例文・類語

もうで‐・くまうで‥【詣来】

  1. 〘 自動詞 カ行変 〙 ( 「まいでく(参出来)」の変化した語 )
  2. 貴所や貴人のもとへやって来る。参上して来る。
    1. [初出の実例]「朝聘(マウテキ)違ふこと無し。貢(みつき)(まこと)に済(な)れり」(出典:日本書紀(720)雄略九年三月(前田本訓))
  3. ( 「来る」の動作主を卑しめ低める意識から、自己側の者の「来る」をへりくだる気持をこめていう、中古以降の用法 ) 主として、かしこまった気持での対話や消息(勅撰集などの詞書を含む)に用い、「来る」「やって来る」の意を、改まり丁重にいう。やってまいります。⇔まかる[ 一 ]
    1. (イ) 地方から都などへ来る、また、貴人のもとへ出て来る場合に用いたもの。一説と同じともするが、対話敬語として、聞き手に対し丁重にいうのに用いている点、敬語としての性質は(ロ)と同様とみられる。
      1. [初出の実例]「此十五日になん月の都よりかぐや姫の迎へにまうてくなる」(出典:竹取物語(9C末‐10C初))
    2. (ロ) 一般的に「来る」の意をへりくだり丁重にいう場合に用いたもの。
      1. [初出の実例]「あひしれりける人のまうできて、かへりにけるのちに」(出典:古今和歌集(905‐914)春下・七八・詞書)
    3. (ハ) 特に、「出でもうでく」の形で「この世に出てくる」「生まれてくる」を丁重にいう。→いでもうでく

まで‐・く【詣来】

  1. 〘 自動詞 カ行変 〙もうでく(詣来)
    1. [初出の実例]「男の、たびよりまてきて、今なんまてきつきたるといひて侍りける返事に」(出典:後撰和歌集(951‐953頃)恋二・六九二・詞書)

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