デジタル大辞泉
「貴所」の意味・読み・例文・類語
出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例
き‐しょ【貴所】
[1] 〘名〙
① 貴人の居所。貴人の御前。
※
古事談(1212‐15頃)一「郷々村々田楽。或被
レ召
二貴所
一。或参
二詣神社
一」
② 相手を敬って、その住所をいう語。
[2] 〘代名〙
対称。中世に発し、主に武士階級以上の男子に用いられた言葉。会話文にも用いられたが、書簡文に多い。貴君。貴下。きしょう。
※政基公旅引付‐永正元年(1504)九月二日「此方へは不レ承候、悉皆貴所様之御取合歟と存計候」
※近世紀聞(1875‐81)〈
染崎延房〉一二「貴所
(キショ)には何等の見込ありて斯る処置には及ばれたるぞ」
[語誌](1)(二)は、「御前」などと同様、場所をさししめす(一)の
用法から転じたもの。「ロドリゲス日本大文典」に「敬態で、
書き言葉か荘重な
話し言葉かに用い」とあるように、もと尊敬の
代名詞であったが、近世になると、次第に待遇価値が下がって、同輩に対して用いるようになった。
(2)近世には、この語を「きしょう」と長音化して用いた例も見られる。
出典 精選版 日本国語大辞典精選版 日本国語大辞典について 情報