請山(読み)うけやま

精選版 日本国語大辞典 「請山」の意味・読み・例文・類語

うけ‐やま【請山】

〘名〙
山師が山代金を負担して鉱山経営または立木伐採を請け負うこと。年季を無期限としたものを永請山(ながうけやま)という。
梅津政景日記‐元和三年(1617)四月朔日「山師共、請山に持候へは、万事せわしき事申かけられ、迷惑候まま、公儀山に致」
江戸時代領主の管理、支配する山林を、一定条件の下で領民に貸与し、樹木、下草採取植栽監護などを行なわせ、また、立ち木を払い下げたりしたもの。請負山。宛山(あてやま)
※山林法度請書(福井藩)‐延宝五年(1677)八月(日本林制史資料)「請山・参剥山に而も柴杪に苅ませ猥に伐取申間敷事」
③ 他村の山の草木を採集するため、年季証文を入れ、毎年小作料を納めた制度。〔地方凡例録(1794)〕

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デジタル大辞泉 「請山」の意味・読み・例文・類語

うけ‐やま【請山】

江戸時代に、領主の持つ山林で、一定条件のもと家臣や村または個人に貸与されたもの。
江戸時代、他村の持つ山林の草木をとることを許されて、毎年小作料を納めるもの。また、その山。宛山あてやま。請負山。
江戸時代、山師や材木業者が運上を納めて鉱山の経営や山林の立木伐採を請け負うもの。また、その鉱山や山。運上山

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「請山」の意味・わかりやすい解説

請山
うけやま

江戸時代,諸藩が一定の条件を付して郷村民に貸与し利用させた直轄山林をいい,受負山,請所山,受取山などさまざまの名称があった。また幕府,諸藩が直接経営せず,山師に一定期間経営を請負わせた鉱山をも請山,請負山と呼んだ。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「請山」の解説

請山
うけやま

近世の鉱山の支配形態の一つ。直山(じきやま)に対して,山師などが一山全体の支配を委任される鉱山をいう。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

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