運上(読み)うんじょう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

運上
うんじょう

運送上納の略。古くは年貢などの公物を京都へ運んで上納することを味し,室町時代には課税の意であった。江戸時代には年貢以外の雑税の一種。本来,冥加 (みょうが) と同じく自発的な献金の性質をもち,商工業など諸営業者に賦課され,年期を限り,額も年により増減する浮役 (うきやく) で,水車,市場,問屋,諸座,油絞,紙漉,塩浜,酒など多くの種類があり,すべて金納であった。運上に関する事務は,幕府では勘定所運上方が,地方の天領では代官が扱い,納期は一般金納の例にならった。諸藩にもこれに似た制度があった。維新後は明治政府の租税制度改革に伴い,従来のおもな運上は漸次国税に編入され,…免許税,…免許料などと改称され,そのほかは 1875年,旧来の各地の雑税とともにすべて廃止されたが,あるものはのちに地方税として復活した。 (→運上所 )

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デジタル大辞泉の解説

うん‐じょう〔‐ジヤウ〕【運上】

鎌倉時代、年貢物を京都に運んで上納すること。
室町後期、租税を割り当てること。
江戸時代の雑税の一。商・工・漁・運送などの営業者に賦課した。

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世界大百科事典 第2版の解説

うんじょう【運上】

江戸時代における雑税で,小物成(こものなり)の一種。商業,工業,運送業,漁業,狩猟などに従事する者に対して課せられた。中世の荘園制下にあっては,年貢などを納める場合,とくに遠隔の地,たとえば都まで運んで納めることを運上といった。したがって,直接課税の意味を含まなかったが,近世に入って課税を意味するものとなった。また,本来は各種営業に対する課税の中で,一定の税率を定めて納めさせるものを運上と称し,免許を許されて営業する者が,その利益の一部を上納するものを冥加(みようが)と呼んで区別した。

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大辞林 第三版の解説

うんじょう【運上】

〔「運送上納」の意〕 中世、公の物、特に年貢を京に運送し上納すること。 〔室町末期より「課税」の意に使われた〕
江戸時代の雑税。商・工・漁・運送業者などに課した。種類はさまざまで、すべて金納。営業税と免許手数料の二通りの性質のものがあった。運上金。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

運上
うんじょう

中世では、荘園(しょうえん)の年貢を領主のもとへ運ぶことを運上と称したが、中世末期ころから課税の意にも用いられるようになり、近世に至って小物成(こものなり)(雑税)の一種の意を確立した。
 近世においては、商業、工業、漁業、狩猟業、運送業などの各種の営業に従事する者に賦課された。本来は、一定の税率をもって納付するものを運上といい、税率なく、免許を得て営業する者が納付するものを冥加(みょうが)という。しかし、両者は同一義に用いられる場合が少なくなかった。運上、冥加は年季を限って賦課され、その賦課額は年により増減した。年季満期には願いによって審議し、延長が許可された。賦課額が増減することからみれば浮役(うきやく)に属する。運上の種類には、水車、市場、問屋、油絞(あぶらしぼり)、絹、紙漉(かみすき)、酒、鉄砲、金銀銅鉄明礬(みょうばん)硫黄(いおう)砥石(といし)山、長崎などの諸運上があり、また地方により特殊な種目が存在した。[川鍋定男]

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精選版 日本国語大辞典の解説

うん‐じょう ‥ジャウ【運上】

〘名〙 (「運送上納」の意。古くは「うんしょう」)
① 物や金を運んで納めること。
(イ) 古代、中世において、上納する物を運ぶこと。
※書陵部所蔵壬生古文書‐太政官符案・寛和三年(987)正月二四日「応上延暦寺散位従五位下平朝臣繁盛奉書写金泥大般若経一部六百巻事」
(ロ) 古代、中世において、特に、年貢物を運ぶこと。
※玉葉‐治承三年(1179)一一月三日「徒抑留坂東運上之人物等之外」
※日葡辞書(1603‐04)「Vnjǒ(ウンジャウ)。または、vnxǒ(ウンシャウ)〈略〉ネングヲ vnjǒ(ウンジャウ) スル」
② 室町末期では課税の意に用いられ、江戸時代には雑税の一種として、商、工、漁猟、運送などの営業に対して、一定の率で課したもの。定率でないものは冥加(みょうが)といった。
※室町殿日記(1602頃)六「洛中洛外諸商買人等座之輩、先規之運上、雖皆済
③ 江戸時代、当道(とうどう)職の盲人が、その救済のため将軍、大名、旗本、武士、農民、商人などから誕生、死亡、嫁取り、建築などの吉凶事がある度ごとに公認されて受ける米銭などの合力(ごうりき)。これを仲間に分配した。
[語誌](1)平安時代の古文書では、年貢を運搬する意味で使用される場合が多いが、古くは年貢に限定されず、種々の物について使用された。
(2)京都へ運送する場合に限らず、各地域の領主への年貢の運搬についても使われている。従って、「運上」の原義は上位のものに向かって物品を運搬し、進上することと推察される。それが年貢に関する用語として漸次固定し、その後、②のように課税そのものを意味するようになったのであろう。

はこび‐あ・げる【運上】

〘他ガ下一〙 はこびあ・ぐ 〘他ガ下二〙 物を高い場所、上の階などへ持って行く。
※栄花(1028‐92頃)峰の月「えもいはぬ大木どもを、ただこの牛一つしてはこひあくる事をしけり」

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世界大百科事典内の運上の言及

【百姓稼山】より

…飛驒国で中世末のころから行われた百姓稼山(白木稼ともいう)は,領主の御林山で用材を採出した跡に放置された残材(根木,末木,悪木,枝条など)を処理して,各種の白木類(短軽材や割材)を再生産するか,または御林内の枯損木(立枯木や風・雪折木など)から家作木や白木・薪などを採出して,近隣諸国にまで売りさばくことを免許された稼山をいう。この稼山製品には山役人の検木と,採材量に応じた運上の負担が義務づけられていた。類似の稼山は木曾,伊那の御林山にも見られたが,その多くは臨時的に行われる〈御救山(おすくいやま)〉であったことと,出願者が村単位であった点に多少の相違が見られる。…

※「運上」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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