財政構造改革法(読み)ざいせいこうぞうかいかくほう

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「財政構造改革法」の意味・わかりやすい解説

財政構造改革法
ざいせいこうぞうかいかくほう

平成9年法律 109号。正式名称は財政構造改革の推進に関する特別措置法。財政収支を健全化し,変容する経済社会情勢に対応できるような財政構造を実現することを目的とした法律。 1997年 11月に成立。政府・与党財政構造改革会議が同年6月にまとめた歳出削減策を基本にし,財政健全化のための具体策を盛込んだ内容で,(1) 2003年度までに,国と地方を合せた財政赤字を GDP比3% (97年は 5.4%) 以下に抑え,赤字国債の発行をゼロにする,(2) 公共事業や社会保障を含む主要経費の削減目標値を定めるなどを柱とする。しかしその後,景気停滞が予想以上に長引いたことから,「経済情勢に弾力的に対応する」ため,98年5月には赤字国債の発行規制を一時的に停止するなど,改正を余儀なくされ,健全化の目標年度も 2005年までに延長された。しかし,景気はその後も深刻化していったため,98年 12月,小渕内閣は財政構造改革法を凍結し,景気回復を最優先させる措置をとった。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「財政構造改革法」の意味・わかりやすい解説

財政構造改革法
ざいせいこうぞうかいかくほう

財政構造改革5原則の内容を踏まえ、1997年秋の臨時国会で成立した法律。財政健全化目標を実現するため、2003年までに国と地方をあわせた財政赤字をGDP比3%(97年は5.4%)以下に抑制、赤字国債発行をゼロにする――というのが柱。アメリカの包括財政調整法(OBRA)などにならい、放漫財政に歯止めをかけるのがねらい。しかし、日本経済の落ち込みが顕著になり、政府は財政構造の抜本的改革を一時棚上げしても、強力な総合経済対策を迫られる事態となった。このため橋本政権は、(1)赤字国債の発行規制を一時停止する「弾力条項」、(2)財政再建目標年次の2005年度までの延長――を2本柱とする改正財政構造改革法の成立(98年5月)を余儀なくされた。さらに小渕政権は98年12月、危機対策を最優先させるため財政構造改革法停止法を成立させた。

三条 彰]

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