日本大百科全書(ニッポニカ) 「遵義」の意味・わかりやすい解説
遵義
じゅんぎ / ツンイー
中国、貴州(きしゅう)省北部の地級市。揚子江(ようすこう)支流烏江(うこう)水系の湘江(しょうこう)上流域、貴陽(きよう)の北約130キロメートルに位置する。人口800万4600(2015)。新蒲(しんぽ)新区を除く、3市轄区、7県、2自治県を管轄し、2県級市の管轄代行を行う(2016年時点)。川黔(せんけん)線(重慶(じゅうけい)―貴陽)沿線の交通要地で、貴州省北部の中心都市である。新中国成立後、県城地区を分離して市を設置した。1935年、長征途中の中国共産党の政治局拡大会議(遵義会議)がこの地で開かれ、毛沢東(もうたくとう)が主導権を確立し「北上抗日」が決定された。
この地方の農林産物の集散地であるとともに、鉄鋼、冶金、機械および付近に産出する燐(りん)鉱石を原料とする化学肥料、この地方で盛んな柞蚕(さくさん)中心の養蚕を基礎とする紡織などの諸工業が発展している。また、高粱酒(カオリャンチウ)の名産地でもあるが、同市南西部の仁懐(じんかい)県級市には有名な茅台酒(マオタイチウ)の産地茅台(ぼうだい)がある。
郊外には土司(どし)の軍事要塞であった海竜屯(かいりゅうとん)遺跡がある。2015年、ユネスコ(国連教育科学文化機関)により「土司の遺跡群」の構成資産として、世界遺産の文化遺産に登録された(世界文化遺産)。
[小野菊雄・編集部 2016年12月12日]