日本大百科全書(ニッポニカ) 「雲貴高原」の意味・わかりやすい解説
雲貴高原
うんきこうげん / ユンコイカオユワン
中国南西部に広がる高原。貴州(きしゅう/コイチョウ)省全域、雲南(うんなん/ユンナン)省東部および湖南(こなん/フーナン)省、広西(こうせい/カンシー)チワン族自治区の一部に及ぶ。平均標高1000~2000メートル。高原上は起伏に富み、地表には石灰岩が広範囲にわたって分布するカルスト地域である。温暖多湿の気候条件のもとで石灰岩の溶解が進み、路南石林、黄果樹瀑布(こうかじゅばくふ)、桂林(けいりん/コイリン)の山水など、奇岩怪石の美で知られる名勝が多い。雲貴高原は長江(ちょうこう/チャンチヤン)(揚子江(ようすこう/ヤンツーチヤン))と珠江(しゅこう/チューチヤン)および元江(ベトナムのソン・コイ川)の3水系の分水嶺(ぶんすいれい)にあたるため、各水系に属する河川が流出し峡谷を形成しており、地下を流れる箇所も多くみられる。
高原上には壩子(はし/パーツ)とよばれる盆地(カルスト地形のドリーネ)が散在する。盆地の底は平坦(へいたん)であり、土層も厚いため農業が発達し、人口が集中している。最大の壩子は昆明(こんめい/クンミン)盆地である。貴州省内に壩子の数は多いが規模は小さく、大型で50平方キロメートル前後、小型は2平方キロメートルほどである。壩子内では米、トウモロコシ、小麦、豆類、ジャガイモなどを栽培し、山地ではタバコ、茶、綿花、トウモロコシの産が多い。交通は成昆、貴昆、南昆、黔桂(けんけい)、昆河(こんか)の5幹線鉄道が通じ、支線もある。道路網も発達している。
[青木千枝子・河野通博]