(読み)シン

デジタル大辞泉 「賑」の意味・読み・例文・類語

しん【賑】[漢字項目]

人名用漢字] [音]シン(呉)(漢) [訓]にぎわう にぎわす にぎやか
にぎわう。「殷賑いんしん
金品を施し与える。にぎわす。「賑給賑恤しんじゅつ
[名のり]とみ・とも

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

精選版 日本国語大辞典 「賑」の意味・読み・例文・類語

にぎわわにぎははし【賑】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙 ( 「にぎわう(賑)」の形容詞化 )
  2. 富み栄えている。豊かである。裕福である。時めいている。〔享和本新撰字鏡(898‐901頃)〕
    1. [初出の実例]「五位は馬よりおりて、家のさまを見るに、にぎははしくめでたきこと、物にもにず」(出典:宇治拾遺物語(1221頃)一)
  3. にぎやかである。明るく陽気である。花やかである。
    1. [初出の実例]「声いとほこりかににきははしきものから、又あはれにすごし」(出典:宇津保物語(970‐999頃)蔵開上)
    2. 「えびぞめのおりもののうちぎ、あはひにぎははしからぬをきなし給へる」(出典:とりかへばや物語(12C後)上)
  4. 物の多いさま。
    1. [初出の実例]「硯のあたり、にぎははしく草子ども取り散らしけるを」(出典:源氏物語(1001‐14頃)初音)

賑の派生語

にぎわわし‐げ
  1. 〘 形容動詞ナリ活用 〙

賑の派生語

にぎわわし‐さ
  1. 〘 名詞 〙

にぎ‐わい‥はひ【賑】

  1. 〘 名詞 〙 富むこと。豊かになること。また、にぎやかであること。にぎあい。
    1. [初出の実例]「農績(なりはひをうむ)ことを廃棄て殷富(ニキハヒ)に至る者か」(出典日本書紀(720)継体元年三月(前田本訓))
    2. 「世を宇治俵の茶作とて、此一村のにぎわい」(出典:浮世草子・新色五巻書(1698)一)

にぎやかし【賑】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「にぎやかす(賑)」の連用形名詞化 ) にぎわすこと。賑やかにするため加えるもの。賑わい。
    1. [初出の実例]「どうでまたこちとらが世話アすれば迚も、釜の下の賑(ニギヤカ)しにゃあなるめえす」(出典:滑稽本浮世床(1813‐23)初)

にぎわしにぎはし【賑】

  1. 〘 名詞 〙 ( 動詞「にぎわす(賑)」の連用形の名詞化 ) にぎわすこと。にぎやかにすること。

にぎわにぎはし【賑】

  1. 〘 形容詞シク活用 〙にぎわしい(賑)

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普及版 字通 「賑」の読み・字形・画数・意味


人名用漢字 14画

[字音] シン
[字訓] すくう・にぎやか

[説文解字]

[字形] 形声
音符は辰(しん)。〔説文〕六下に「富むなり」とする。〔史記、平準書〕に「郡國の倉(さうくわい)(蔵)をしうして、民を賑(すく)ふ」とあって、賑給することをいう。振十二上には「擧げ救ふなり」とあって、もと振救の意。辰は蜃肉の象であるから、本来は魂振りの意があり、財を以てするを賑という。

[訓義]
1. すくう、たすける。
2. にぎわす、たす。
3. にぎやか、とむ。
4. と通じ、くらむ、くらます。

[古辞書の訓]
名義抄〕賑 タマフ・ニギハフ・トム・トミ・ヨロコブ・カクス・サカリ・スクフ 〔字鏡集〕賑 タクハフ・ヨシ・トム・トミ・タマフ・カクス・スクフ・ヨロコブ・ヲモシ・タスク・ニギハフ・サカリ・シヅカナリ

[語系]
賑・振tjinは同声。蜃・)zjinは蜃肉。蜃肉は呪力あるものとされ、社肉に用い、魂振りとして振救するために、賑給された。

[熟語]
賑益・賑捐・賑飢・賑・賑窮・賑救・賑給・賑恵・賑護賑荒賑済賑災・賑施・賑賜賑粥・賑・賑恤・賑助・賑贍賑貸賑田・賑貧・賑民・賑与賑糧・賑廩
[下接語]
哀賑・殷賑・隠賑・仮賑・矜賑・施賑・贍賑・存賑・富賑

出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報

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