日本大百科全書(ニッポニカ) 「造作買取請求権」の意味・わかりやすい解説 造作買取請求権ぞうさくかいとりせいきゅうけん 建物の賃借人が、賃貸借終了の際、賃貸人(家主)の同意を得て建物に付加した畳、建具その他の造作(建物に付加されるが、その構成部分にならずに独立性を有し、かつ建物の客観的価値を増すもの)や賃貸人から買い受けた造作を時価で買い取るよう賃貸人に請求することのできる権利(借地借家法33条)。借家人が借家にかけたある種の資金(投下資本)を容易に回収できるようにする目的で定められたものである。形成権の一種であり、したがって賃借人の一方的意思表示によって効力が生じ、その結果、当事者間に売買契約が成立したと同一の法律関係が成立する。[淡路剛久][参照項目] | 形成権 | 借地借家法 出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例 Sponserd by
ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「造作買取請求権」の意味・わかりやすい解説 造作買取請求権ぞうさくかいとりせいきゅうけん 借家契約が期間の満了または解約申入れによって終了する際,借家に付加した造作の買取りを借家人から家主に請求する権利。借地借家法によって認められているもの (33条) 。借家人が借家の利用,改良のため投下した資本の回収を認める一方,造作によって増した建物の価値を維持し家主と借家人の利害を調整するための制度で,民法の費用償還請求権 (608条) とその趣旨を同じくする。ただし造作買取請求権は家主から買受けあるいはその同意を得て付加した造作についてのみ生じる。造作とは建物の一部とならず独立性を保つもので,建物の客観的利用価値を増しているものをいう。「のれん」などの営業上の利益を無形の造作として買取請求の対象とできるかについては争いがある (最判 1954.3.11.民集8巻3号 672は否定説) 。借家人が請求権を行使したとき造作の売買が成立したものとされ,代金は時価による。判例によれば,借家人は家主が買取代金を支払わないときは,造作の引渡しを拒むことができるが,家屋の明渡しまで拒むことはできない。 出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報 Sponserd by