造陸運動
ぞうりくうんどう
epeirogeny
広範な大陸的スケールの地域で,地質構造の著しい変化なしに隆起したり沈降したりする地殻変動をいう。普通きわめて長期間にわたって徐々に起きる変動とされており,造山運動に相対する運動といわれる。造陸運動は大陸をつくる運動といわれることがあるが,沈降によって広大な浅い海を生じる運動もまた造陸運動である。海を生じる運動については,造海運動と呼ぶこともある。
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ぞうりく‐うんどう〔ザウリク‐〕【造陸運動】
大陸のような広大な地域が、地質構造を著しく変えないで隆起または沈降する運動。
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造陸運動【ぞうりくうんどう】
広大な地域が,その内部の地質構造を変えることなく(断層や褶曲(しゅうきょく)などを生じないで),徐々に隆起したり沈降したりする運動。造山運動と対。
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造陸運動
大陸といった広大な地域が,穏やかな広範囲の褶曲作用を伴うだけで地質構造の著しい変化なしに隆起または沈降する地殻の運動.造山運動とは区別され対立する大陸の運動である.普通はきわめて長時間にわたって徐々に起こる変動とされる[Gilbert : 1890, Schuchert : 1923, Holmes : 1965].ギリシャ語のepeirosは大陸の意味.
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ぞうりくうんどう【造陸運動 epeirogeny】
元来は大陸をつくる運動という意味で,山をつくる運動である造山運動と対照をなす言葉である。この語は,1890年にG.K.ギルバートによって初めて用いられたが,造山運動との相違を明確にして再定義を与えた(1919)のはシュティレH.Stilleであった。シュティレによれば,造陸運動は長い期間にわたって進行する地殻の広範な部分の緩慢な昇降運動であって,褶曲や断層を形成したり火成活動を伴うことはほとんどなく,広い台地や,海盆や,大陸内部の盆地などをつくるものである。
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ぞうりくうんどう【造陸運動】
元の構造を残しながら、広範囲にわたってゆっくり隆起または沈降する地殻変動。
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造陸運動
ぞうりくうんどう
帯状でない、大陸的ないし亜大陸的な広範な地域が、1000万年オーダーの長期間に徐々に沈降または上昇、あるいはそれらを繰り返す地殻変動を総称していう。造陸運動があったことは、過去の海成層が非常に広く陸上に分布すること、またしばしばその上に陸成層が重なること、すなわち広範な地域に海進・海退があったことに示されている。また海成層や低地で堆積(たいせき)した陸成層が、海水面が上昇したことはありえないほどの高さに、ほとんど変形しないままで広く分布する地域があり、すなわち大陸的な隆起があったことに示されている。しかし、海進・海退には新生代第四紀の氷河の消長に伴うもののように地殻変動によらないものがある。また氷期に厚い氷河の荷重のために深く沈下していたスカンジナビア半島が、氷河が融(と)けて荷重がなくなった完新世(現世)に隆起したように、地球内部に根本原因をもたない造陸運動もある。
造山運動がきわめて短期間の地殻変動であると考えられたころには、造陸、造山運動は同時に同地域におこることはないと考えられた。しかし日本列島では、造山運動期にアジア東部地区と同時に海進・海退が造陸運動としておこった時期があることも知られている。[木村敏雄]
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