連帯主義(読み)れんたいしゅぎ(英語表記)solidarism

百科事典マイペディア 「連帯主義」の意味・わかりやすい解説

連帯主義【れんたいしゅぎ】

19世紀末―20世紀初頭に主張された社会・政治思想一方では,集権主義的性格の強い社会主義に,他方では古典的な自由主義に対抗して主張された。社会を社会成員の相互依存関係を基礎としてとらえる観点から,具体的な形態はさまざまだが,おおむね,各人が能力に応じて社会に奉仕するという社会を提唱した。レオン・ブルジョワの提唱した運動がその一例集合意識が個人意識に優越していた前近代の抑圧的な機械的連帯の社会に対し,近代は個人意識が優越した,分業による有機的連帯を構想しうる社会であるとするデュルケーム議論は,連帯主義の思想に社会学的,また道徳的な論拠を与えた。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「連帯主義」の意味・わかりやすい解説

連帯主義
れんたいしゅぎ
solidarism

人間や人間の行為ないしその所産相互の間の結びつきや依存関係を強調する立場。その連帯性を,事実としていう場合にも,またこれになんらかの規範的側面を認める場合にも使われる。前者の場合,É.デュルケムの機械的連帯から有機的連帯への社会発展図式が有名である。後者の場合は個々の人間の社会発展,存続への義務をさしたり,あるいはさらにより積極的に,より望ましい連帯を可能とする社会を建設しようとする政治的主張である場合もあり,国際連盟の創立に活躍した L.ブルジョアがその好例である。連帯の強調は,その反対であるような社会的現実,利己主義や分裂,個別化への批判反発によっても動機づけられている。

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世界大百科事典(旧版)内の連帯主義の言及

【社会的連帯】より

…個人および各種類の集団(民族や国家も含む)が相互的な依存関係のなかで形成している密接な結合状態をいう。連帯責任,階級的連帯,連帯主義などといわれる。相互に結びついている形態や結びつきの深さ,結びつきを左右する動機や根拠とその確定の程度,その結びつきの媒体となる紐帯およびその紐帯の強さには,いくつもの種類とさまざまな度合がある。…

※「連帯主義」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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