連結会計(読み)れんけつかいけい(その他表記)Accounting of Consolidated Financial Statements

日本大百科全書(ニッポニカ) 「連結会計」の意味・わかりやすい解説

連結会計
れんけつかいけい
Accounting of Consolidated Financial Statements

経済的な意味において支配従属の関係にある複数の会社を一つの企業集団とみなして、この組織体の財政状態および経営成績、ならびに資金収支状況を測定し報告するための会計をいう。現在の日本の会計制度(金融商品取引法会計)では、連結会計による財務諸表は、連結貸借対照表、連結損益計算書、連結株主資本等変動計算書、連結キャッシュ・フロー計算書、そして連結附属明細表からなるものとされている。なお、会社法では、会計監査人設置会社に対して前記の連結計算書類の作成が義務づけられている。連結財務諸表は、法律的に独立した個々の会社の財務諸表すなわち個別財務諸表と対照されるものである。

 日本の会計制度では、長らく個別財務諸表を基本財務諸表とし、連結財務諸表の作成は、1975年(昭和50)に企業会計審議会による「連結財務諸表の制度化に関する意見書」の公表により1977年度決算からその開示を義務づける制度化がなされたが、これはあくまでも個別財務諸表の補足表としての位置づけであった。

 その後、いわゆる金融ビッグバンにおける会計制度改革(俗にいう会計ビッグバン)により、1997年(平成9)に企業会計審議会から「連結財務諸表制度の見直しに関する意見書」が公表され、1999年度決算からは、企業が開示する財務諸表の中核に連結財務諸表を位置づける改正がなされ今日に至っている。これは、バブル崩壊以後の長引く経済不況下において、証券・金融市場の抜本的な改革、とくに企業の経営実態を的確に開示する手法として、グローバルスタンダードとの整合を図ることが不可欠とされ、連結会計による連結グループ経営の構築を推進する施策にほかならない。

 現行の連結会計制度の重要な特徴は、その連結の範囲、すなわち支配・従属の関係の有無を判断する領域を、従来の持株基準(持株比率基準)でなく支配力基準を採用したことである。支配力とは実質的に他の会社の経営意思決定過程をコントロールしうる実質的な力であり、これを有するものを親会社、支配されるものを子会社とし、これらの一体となったグループを連結会計の対象とする方法を支配力基準という。したがって、議決権を有する持株の比率が過半数でなくとも、取締役の過半数を継続的に占めるような場合などにおいては、親子関係のある連結関係を認識することとなる。

 日本では、2002年4月より、連結会計をベースとする親会社による連結納税制度が法人税制において導入された。それは親子の法人間における損益通算の本格的なグループ税制であるが、その制度の適用は法人の選択となっている。

 連結会計は、持株会社制度の活用などによるグループ経営を堅固に展開するための基幹システムの役割を果たしている。

[東海幹夫]

『あずさ監査法人編『連結財務諸表の実務――関連法規等の解説と具体的会計処理』第4版(2008・中央経済社)』『広瀬義州編著『連結会計入門』第5版(2009・中央経済社)』

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知恵蔵 「連結会計」の解説

連結会計

連結決算」のページをご覧ください。

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ASCII.jpデジタル用語辞典 「連結会計」の解説

連結会計

資本関係が同一、あるいは極めて近しい企業の集合体を1つの会社ととらえ、決算を行なう会計手続き。連結決算とも言う。産業のグローバル化やM&Aの頻発化により企業の定義が複雑化、主となる企業の単体会計だけを見ていてもグループ全体の経営状況が把握できないことから導入された。特にグループ企業間の取引高などを相殺しないと、実力が過大に評価されるおそれがあるため。連結会計は証券取引法の取り決めから、上場企業などに作成が義務化されている。1997年には連結財務諸表原則が改正、2000年3月期から連結会計が財務諸表の中心となった。

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