進物所(読み)シンモツドコロ

デジタル大辞泉 「進物所」の意味・読み・例文・類語

しんもつ‐どころ【進物所】

平安時代、宮内省内膳司に属し、供御くご調理をつかさどった所。
貴族邸宅で、食事の調理をした所。

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精選版 日本国語大辞典 「進物所」の意味・読み・例文・類語

しんもつ‐どころ【進物所】

  1. 〘 名詞 〙 平安京内裏図によれば紫宸殿南西に位置する月華門外の南側にあって、内膳司の作った食物を、天皇に供進するに当たり、温め直したり、簡単な調理をしたりする所。また、諸国貢進の御贄(みにえ)は、ここと御厨子所に保管された。内膳司の宮中における出先機関というべきもので、蔵人の指揮を受けた。別当、預、執事などの職員がいた。後には、院宮や摂関家などにも同名のものが見えるようになる。たまいところ
    1. [初出の実例]「停内膳司進物所等置近江国員外贄人、依国吏申請也」(出典日本三代実録‐元慶七年(883)一〇月二六日)

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改訂新版 世界大百科事典 「進物所」の意味・わかりやすい解説

進物所 (しんもつどころ)

平安京内裏内の月華門外南腋に置かれた,天皇の供膳のことをつかさどる内廷的な所(ところ)。〈たまいところ〉ともいう。初見史料は《弘仁式》。9~10世紀の交以降は蔵人所(くろうどどころ)の支配下に組み入れられた。《西宮記》によれば,この所の職員として別当・頭・預・執事・膳部が置かれ,別当には近衛次将が,預には内膳奉膳が就くとされる。この所の職掌を規定した進物所例がごくわずかながら《西宮記》に残されている。また類似した職掌をもつ所として御厨子所(みずしどころ)がある。
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世界大百科事典(旧版)内の進物所の言及

【進物所】より

…《西宮記》によれば,この所の職員として別当・頭・預・執事・膳部が置かれ,別当には近衛次将が,預には内膳奉膳が就くとされる。この所の職掌を規定した進物所例がごくわずかながら《西宮記》に残されている。また類似した職掌をもつ所として御厨子所(みずしどころ)がある。…

【院司】より

… 院司の構成にはかなり変遷があるが,《西宮記》《拾芥抄》《名目抄》その他の記録により,平安・鎌倉時代の院司を概括すると,二十数種に及ぶ。それを性格・機能のうえから分類すると,(1)院中の諸事を統轄処理するもの=別当・判官代・主典代,(2)上皇の側近に侍し身辺の雑事に奉仕するもの=殿上人・蔵人・非蔵人,(3)各種の職務を分掌するもの=別納(べちのう)所・主殿(とのも)所・掃部(かもん)所・薬殿・仕所・召次所・御服所・細工所・御厨子(みずし)所・進物所・御厩・文殿(ふどの)など,(4)上皇の身辺および御所の警固に当たるもの=御随身所・武者所・北面・西面などに整理できる。まず(1)は院司の中核で,(1),もしくは(1)(2)に限って院司と称した例も多い。…

※「進物所」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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