江戸中期の禅僧、白隠慧鶴(はくいんえかく)が著した仮名書きの法語。書名は、白隠が常用した茶釜(ちゃがま)の名にちなむ。生前にも二度出版され広く読まれた。初版は1749年(寛延2)に出版され、養生(ようじょう)法としての内観(ないかん)の修行法に始まり参禅一般の注意を説いた「答鍋島摂州殿下近侍書」、病中の修行の用心を説いた「遠方ノ病僧ニ贈リシ書」、そして『法華経(ほけきょう)』に関する疑問に答えた「法華宗ノ老尼ニ贈リシ書」およびその付録1編を付した三巻本であった。再版は2年後で、白隠の弟子慧梁(えりょう)によって初版本に「答念仏与公案優劣如何問書」「答客難」が増補された。
[船岡 誠]
『白隠和尚全集編纂会編『白隠和尚全集 第5巻』(1934~35・龍吟社)』▽『伊豆山善太郎訳注『遠羅天釜』(1984・春秋社・仮名法語白隠文庫)』
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