白隠慧鶴(読み)ハクインエカク

デジタル大辞泉 「白隠慧鶴」の意味・読み・例文・類語

はくいん‐えかく〔‐ヱカク〕【白隠慧鶴】

[1686~1769]江戸中期の僧。臨済宗中興の祖。駿河の人。号、鵠林。勅諡号ちょくしごう、神機独妙禅師・正宗国師。信濃飯山正受庵の道鏡慧端の法をぎ、故郷の松陰寺に住持した。京都妙心寺の第一座ともなったが、のち、諸国を遊歴し、禅の民衆化・革新遂行。詩文・禅画もよくした。著「夜船閑話」「遠羅天釜おらてがま」など。

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朝日日本歴史人物事典 「白隠慧鶴」の解説

白隠慧鶴

没年:明和5.12.11(1769.1.18)
生年貞享2(1685)
江戸中期の禅僧。五百年間出の英霊漢と謳われ,近世臨済禅中興の祖と称される。生涯を黒衣で通し,京都妙心寺にも出世しなかった。隻手音声(片手で鳴らす音を心耳で聞く)の公案(悟りを得るために考えさせる問題)をもって学徒の指導をしたことは有名である。駿河の浮島(静岡県沼津市)原の長沢家に生まれる。元禄12(1699)年,15歳郷里松蔭寺の単嶺祖伝につき得度し,慧鶴の諱を付けられる。宝永1(1704)年,美濃(岐阜県)瑞雲寺の馬翁につき,その後,越後(新潟県)高田の英巌寺の性徹,信濃飯山の道鏡慧端に参禅し,大悟する。托鉢にいき,家の前に立つと老婆がよそに行けといったが,白隠は去らなかったために老婆が怒り竹箒で打ち,そのときに悟ったという。 宝永5年,松蔭寺に帰る。同7年,病となり京都白川の白幽子を訪ね,内観修養の法を授かり,難病は完治する。その体験はのちに『夜船閑話』の著としてまとめられる。その後,松蔭寺をはじめ諸国において碧巌録・臨済録などの祖録を講じ,白隠禅を宣揚する。宝暦8(1758)年,三島に寺地をえて竜沢寺の創建を進め,同10年,同寺で『息耕録』を講じている。明和5(1768)年,松蔭寺において遷化する。84歳であった。火葬して原の松蔭寺,三島の竜沢寺,比奈(富士郡吉永村)の無量寺に塔された。翌年,「神機独妙禅師」と諡された。門下には,東嶺円慈,遂翁元盧,峨山慈棹などの逸材が多く出ていて,白隠の一派を「鵠林派」という。また,池大雅など居士や女性の参禅者も多かった。著書には『槐安国語』『荊叢毒蘂』など本格的な禅の書や,『夜船閑話』『遠羅天釜』『さし藻草』『於仁安佐美』『子守唄』『坐禅和讃』『草取唄』など仮名交じりで平易に禅を説いたものなどが多い。『白隠和尚全集』全8巻に収載されている。また「七福神乗合図」など禅画がある。<参考文献>陸川堆雲『考証白隠和尚詳伝』,秋山寛治『沙門白隠』,常盤義伸『白隠』(『大乗仏典』27号)

(竹貫元勝)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「白隠慧鶴」の解説

白隠慧鶴 はくいん-えかく

1686*-1769* 江戸時代中期の僧。
貞享(じょうきょう)2年12月25日生まれ。臨済(りんざい)宗。15歳で郷里駿河(するが)(静岡県)の松蔭寺で得度。信濃(しなの)飯山の道鏡慧端(どうきょう-えたん)(正受(しょうじゅ)老人)の法をつぐ。のち松蔭寺にもどり,享保(きょうほう)3年京都の妙心寺首座。禅の民衆化につくし,書画でも知られた。明和5年12月11日死去。84歳。諡号(しごう)は正宗(しょうじゅう)国師。別号に鵠林(こうりん)。著作に「遠羅天釜(おらてがま)」「夜船閑話」など。
【格言など】養生は大名が国を守るようなものである(「夜船閑話」)

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旺文社日本史事典 三訂版 「白隠慧鶴」の解説

白隠慧鶴
はくいんえかく

1685〜1768
江戸中期の臨済宗の僧。臨済宗中興の祖
駿河(静岡県)の人。15歳のとき出家し,以来修行に励んだ。生涯百姓・町人の中にあり,平易な禅を説き広めた。京都の妙心寺第一座。著書に『槐安国語 (かいあんこくご) 』など。

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367日誕生日大事典 「白隠慧鶴」の解説

白隠慧鶴 (はくいんえかく)

生年月日:1685年12月25日
江戸時代中期の僧
1769年没

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「白隠慧鶴」の意味・わかりやすい解説

白隠慧鶴
はくいんえかく

白隠

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