薬剤を配合したとき、なんらかの変化を生じ、そのままでは患者に適応しえない薬剤の組合せをいう。治療学的配合禁忌と薬剤学的配合禁忌があり、薬剤学的配合禁忌はその機序(メカニズム)から化学的配合禁忌と物理的配合禁忌に分類される。
治療学的配合禁忌は薬物の併用によっておこる薬理作用の増強や減弱を対象とし、とくに薬理作用の増強は副作用の増大となって現れるので問題となっている。カナマイシンなどアミノ糖系抗生物質はデキストランを成分とする血漿(けっしょう)増量剤との併用で腎(じん)障害が現れるといった例や、ワルファリンカリウムとアスピリンの併用で出血傾向が現れるなど多くの例が知られている。従来は、薬理作用の相反する薬剤、たとえばアトロピン(散瞳(さんどう)剤)とピロカルピン(縮瞳剤)の配合といった例や、含糖ペプシンと炭酸水素ナトリウムの配合のごとく、ペプシンがアルカリで不活性化されるような例について薬理学的配合禁忌といっていた。これらはすべて配合は不可である。ただし、薬物間相互作用は個体差が多く、しかも減量や投与経路、投与時間を変えることによって投与が可能である。
薬剤学的配合禁忌の例としては、アスピリンと炭酸水素ナトリウム、ビタミンC(アスコルビン酸)と酸化マグネシウムや健胃散など制酸剤があり、前者は湿潤し、後者はビタミンCがアルカリで分解する。これらは配合不適といい、別々に包装して、用時いっしょに服用する。ダイオウと酸化マグネシウムの配合では色が変化するが効力に変化はない。このような場合、配合注意と称して、その旨患者に説明することになっている。
[幸保文治]
出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報
…2種以上の医薬品を配合したさい,薬物相互作用による薬効,副作用または理化学的性状に変化を起こすことをいう。配合変化には,配合のために害を生じ絶対に避けなければならない配合禁忌,配合による変化を適当な手段によって投薬可能にできる配合不適,外観などに変化を生じるが薬効に影響のない配合注意がある。配合変化は原因により薬物学的配合変化と理化学的配合変化に分類することができる。…
※「配合禁忌」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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