翻訳|procaine
合成局所麻酔薬の一つ。天然の局所麻酔薬コカインは毒性が強く,薬物依存も生ずるため,それに代わるものとして多くの合成局所麻酔薬がつくられたが,そのうちの代表的なもので,1905年に開発,合成された。白色の結晶で水によく溶ける。化学的に安定で,煮沸しても分解しない。局所麻酔作用はコカインより弱い。コカインと異なり,鼻粘膜や眼などの表面麻酔には適さず,腰椎麻酔,硬膜外麻酔,伝達麻酔,浸潤麻酔に用いる。コカインには血管収縮作用があり,投与したコカインは局所にとどまって作用を表すが,プロカインなどの合成局所麻酔薬は血管収縮作用を欠くため,局所にとどめる目的で血管収縮薬のエピネフリンを併用することが多い。製剤には,塩酸プロカイン注射液または歯科用2%塩酸プロカインがある。体内では血中のエステラーゼにより速やかに分解される。
→局所麻酔薬
執筆者:重信 弘毅
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
2-(diethylamino)ethyl 4-aminobenzoate.C13H20N2O2(236.31).p-アミノ安息香酸エチルと2-ジエチルアミノエタノールとを加熱してエステル交換するか,あるいは,塩化p-ニトロベンゾイルと2-ジエチルアミノエタノールとを反応させ,生成物を還元して製造する.融点61 ℃.水和物の融点51 ℃.エタノール,エーテル,クロロホルム,ベンゼンに可溶.塩酸塩(ノボカイン,融点156 ℃)は局所麻酔薬として用いられる.刺激性はなく,毒性はコカインの1/6~1/10.LD50 340~800 mg/kg(マウス,皮下).[CAS 59-46-1][CAS 51-05-8:塩酸塩]
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報
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…局所麻酔の作用は可逆性であり,毒性が低く,全身性にも副作用がないことが条件である。現在用いられている局所麻酔薬はエステル型(プロカイン),アミド型(リドカイン)がある。局所麻酔薬が麻酔作用を起こす本態については諸説があるが,神経細胞の物理化学的変化によるといわれている。…
…コカインは天然由来のすぐれた局所麻酔薬であるが毒性も強いので,数多くの合成局所麻酔薬(コカイン代用薬ともいう)が作られている。プロカイン,テトラカイン,リドカイン,ジブカイン,アミノ安息香酸エチルなどである。これらの効力や毒性はそれぞれ異なるが,いずれも完全なものとはいいがたい。…
※「プロカイン」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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