煙を発生する薬剤。物理煙と化学煙を出すものがある。物理煙は煙物質が発煙剤の成分に含まれていて,それが燃焼するとき蒸発して煙になるもの,化学煙は煙物質が煙剤の燃焼の際,化学反応によって生成するものである。物理煙剤の煙物質は150~500℃で変質せず蒸発することが必要である。ローダミンB(赤紫),パラレッド(橙赤),バターイェロー(黄),オイルオレンジ(だいだい),フタロシアニンブルー(青)などがおもに使われる。色の調節は色素の混合による。物理煙剤は煙物質と発熱剤(塩素酸カリウムと乳糖などの炭水化物)との混合物である。硫黄と硝酸カリウム(白煙)および硫黄,硝酸カリウムと鶏冠石AsS(黄煙)も物理煙剤に入る。化学煙剤には六塩化エタン,亜鉛末と酸化亜鉛(塩化亜鉛の煙,白煙),またはアントラセン,過塩素酸カリウムと硫黄(炭素の黒煙)などがある。発煙機は高沸点の液体を用い物理煙を出す。
執筆者:清水 武夫
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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