野田宇太郎(読み)ノダ ウタロウ

20世紀日本人名事典 「野田宇太郎」の解説

野田 宇太郎
ノダ ウタロウ

昭和期の詩人,評論家,編集者 明治村常任理事;元・「文芸」編集長。



生年
明治42(1909)年10月28日

没年
昭和59(1984)年7月20日

出生地
福岡県三井郡立石村(現・小郡市)

学歴〔年〕
福岡県立朝倉中学(旧制)卒,早稲田第一高等学院中退

主な受賞名〔年〕
九州文学賞〔昭和16年〕,芸術選奨文部大臣賞〔昭和51年〕「日本耽美派文学の誕生」,紫綬褒章〔昭和52年〕,明治村賞(第3回)〔昭和52年〕,久留米市文化賞〔昭和57年〕

経歴
新聞記者などを経て、昭和15年小山書店に入り、雑誌「新風土」の編集に従事。16年第一書房に移り「新文化」(「セルパン」に改題)に関与し、さらに19年河出書房に転じ、同年12月から「文芸」の編集に携わる。東京空襲下、命がけで唯一の文芸誌の余命を保った。21年高踏芸術誌「芸術閒歩」を発行。一方早くから詩作をし、「夜の蜩」など多くの詩集刊行。また“文学散歩”の生みの親として知られ、昭和36〜41年に「九州文学散歩」「関西文学散歩」「四国文学散歩」など全28巻の「文学散歩」を編纂した。文芸評論としては「日本耽美派文学の誕生」「木下杢太郎生涯と芸術」「天皇陛下に願い奉る」などで明治末期の浪漫主義研究に新生面を開き、51年に芸術選奨を受賞。他の著書に「定本野田宇太郎全詩集」「野田宇太郎文学散歩」(全26巻 文一総合出版)がある。昭和62年福岡県小郡町に野田宇太郎文学資料館が開館。平成元年生誕80年を記念した第1回生誕祭が開催され、以後、野田宇太郎生誕祭献詩を全国から募集。

出典 日外アソシエーツ「20世紀日本人名事典」(2004年刊)20世紀日本人名事典について 情報

日本大百科全書(ニッポニカ) 「野田宇太郎」の意味・わかりやすい解説

野田宇太郎
のだうたろう
(1909―1984)

詩人、評論家。福岡県立石村(現小郡市)に生まれる。県立朝倉中学卒業後、早稲田(わせだ)第一高等学院に学ぶ。1940年(昭和15)以後、『新風土』『新文化』『文芸』『芸林間歩(かんぽ)』の編集に携わるかたわら、『旅愁』『すみれうた』など叙情的な詩集を刊行、戦中戦後の編集者時代の記録『灰の季節』『混沌(こんとん)の季節』を残した。文芸評論としては明治末期の浪漫(ろうまん)主義研究に新生面を開き、『パンの会』(1949)、『日本耽美(たんび)派文学の誕生』(1951)、『きしのあかしや』(1955)、『瓦斯燈(ガスとう)文芸考』(1961)などを発表。また「文学散歩」の創始者として『新東京文学散歩』(1951)をはじめとする28冊の著作をまとめ、文学史跡の記念保存に力を尽くした。76年(昭和51)『日本耽美派文学の誕生』により芸術選奨文部大臣賞を受賞。

[近藤信行]

『『野田宇太郎文学散歩』24巻・別巻四(1977~85・文一総合出版)』『『定本野田宇太郎全詩集』全一巻(1982・蒼土舎)』

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「野田宇太郎」の解説

野田宇太郎 のだ-うたろう

1909-1984 昭和時代の詩人,評論家。
明治42年10月28日生まれ。雑誌「新風土」「芸林間歩(かんぽ)」編集のかたわら,詩集「旅愁」,評論「日本耽美(たんび)派の誕生」などを刊行。「新東京文学散歩」にはじまる文学散歩シリーズで知られる。昭和59年7月20日死去。74歳。福岡県出身。第一早稲田高等学院中退。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

367日誕生日大事典 「野田宇太郎」の解説

野田 宇太郎 (のだ うたろう)

生年月日:1909年10月28日
昭和時代の詩人;文芸評論家。明治村常任理事
1984年没

出典 日外アソシエーツ「367日誕生日大事典」367日誕生日大事典について 情報

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