金城湯池(読み)きんじょうとうち

精選版 日本国語大辞典 「金城湯池」の意味・読み・例文・類語

きんじょう‐とうち キンジャウタウチ【金城湯池】

〘名〙 (金で造った城と熱湯をたたえた池との意) きわめて守りの堅い城と堀。転じて、他から侵害されにくい所。金湯(きんとう)
※中華若木詩抄(1520頃)中「金城湯池なんどと云時には用害の心あり」 〔漢書‐蒯通伝〕

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デジタル大辞泉 「金城湯池」の意味・読み・例文・類語

きんじょう‐とうち〔キンジヤウタウチ〕【金城湯池】

《「漢書」蒯通伝から。「湯池」は熱湯をたたえた堀》守りが非常に固く、攻めるのが難しい城。金湯。
堅固で、他から侵害されにくい勢力範囲。「保守派金城湯池

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四字熟語を知る辞典 「金城湯池」の解説

金城湯池

きわめて守りの堅い城と堀。転じて、他から侵害されにくい所。

[使用例] 後年浄土真宗の金城湯池といわれるこの種の信者群を擁することになったのは、吉水禅室がそのきっかけとなったようである[丹羽文雄*新版 親鸞|1973]

[使用例] その夜は誠照寺へ泊ったが、三万石の城下町でありながら、誠照寺の境内本堂庫裏も客殿も、立派に規模がととのってさすがは真宗の金城湯池だ[川口松太郎*新吾十番勝負|1957-59]

[使用例] 大坂城には、将軍がいる。幕府無傷の士卒が数万といる。武器もある。「城は、金城湯池だ。これに拠り、将軍を擁して戦うかぎり、天下の反薩長の諸藩はこぞって立ちあがる」[司馬遼太郎*燃えよ剣|1964]

[解説] 金の城と湯の池といえば、城に近い温泉場、小田原か箱根あたりを想像しますが、そうではありません。
 このことばは「漢書」に古い例があります。はんようの地を攻める武将しんくんに対し、知恵者のかいとうが進言します。
 「敵の城が降伏したら、大いに優遇してやってください。でないと、周囲の他の城も降伏をためらい、まるで金の城を熱湯の堀で囲むように、守りを固くしてしまい、攻められなくなります」
 金の城、熱湯の堀に攻め込むのは難しいので、「なんこうらく場所」の意味になります。「きんじょうてっぺきの(=攻め込むのが難しい)場所」とも言い換えられます。
 「金城湯池」は、今の日本では特別の場合に、特によく使われます。それは、選挙地盤を言う場合です。「○○県はA党の金城湯池だ」と言えば、そこが強固な地盤だという意味になります。
 あるいは、「この市場は○○社の金城湯池だ」とも言えます。この場合は「独占状態の場所」ということです。

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