韓国(大韓民国)の詩人、随筆家。釜山(ふざん/プサン)生まれ。13歳で渡日、苦学する。北原白秋に認められて1929年『朝鮮民謡集』(泰文館)を出したのを手始めに、朝鮮口伝童謡・民謡の採集と翻訳、現代詩の紹介を行った。土田杏村(きょうそん)の尽力で33年『諺文(おんもん)朝鮮口伝民謡集』(第一書房)を刊行、同じ年に本書の歌詞番号による抄訳『朝鮮童謡選』『朝鮮民謡選』が岩波文庫に加えられた。40年に訳詩集『乳色の雲』(河出書房)を刊行。42~43年、鉄甚平の名も使用。45年2月に帰国。52年ベネチア国際芸術家会議に出席の途中、日本に立ち寄った際の発言がもとで韓国政府により帰国の途を閉ざされ滞日。65年の帰国後『現代韓国文学選集』全5巻、『韓国美術全集』全15巻などの日本語訳、『韓日辞典』『金素雲随筆選集』全5巻などの編纂(へんさん)、刊行がある。朝鮮文化と伝統の美を日本人に知らせることに生涯を捧(ささ)げた。
[任 展 慧]
『『金素雲エッセイ選Ⅰ・Ⅱ』(1981・サイマル出版会)』▽『金素雲著『天の涯に生くるとも』(1983・新潮社)』
朝鮮の詩人,随筆家。釜山生れ。13歳で渡日。苦学の後,北原白秋らの知遇を得て《朝鮮民謡集》(1929)を手始めに朝鮮口伝の童謡・民謡の採集と翻訳,現代詩の紹介を行った。《諺文朝鮮口伝民謡集》(1933)は,現在韓国でも方言研究の貴重な資料となっている。本書をもとに岩波文庫から《朝鮮民謡選》《朝鮮童謡選》を刊行。解放直前に帰国。1952年ベネチアでの国際芸術家会議出席の途中,日本に立ち寄った際の発言がもとで韓国政府により帰国の途を閉ざされ滞日。1965年帰国後《韓日辞典》《現代韓国文学選集》全5巻,《金素雲随筆選集》全5巻等の編纂,翻訳,刊行がある。朝鮮の文化と伝統の美を日本人に知らせることに生涯を捧げた。
執筆者:任 展 慧
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