朝日日本歴史人物事典 「鈴木万里」の解説
鈴木万里(初代)
生年:生年不詳
江戸後期の長唄唄方。初代荻江露友の門弟と伝えられる。安永3(1774)年に江戸市村座に鈴木熊次郎の名で出演した記録があるが,活動の中心は後年に上った大坂であった。天明3(1783)年ごろ,大坂角の芝居に出演したのをはじめ,同年の大坂中の芝居ではメリヤスと唄浄瑠璃を唄うなど,江戸長唄を大坂に広めた功績は大きい。寛政7(1795)年ごろ,大坂の劇場専属の唄方となり,長唄ばかりでなく豊後節系浄瑠璃の太夫(語り手)も勤め好評を得る。それも美声と洗練された唄いぶりがあってこそであろう。文化5(1808)年に亀寿斎と改名。鈴木万里の名跡は4代まで続いた。
(長葉子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報