鉄水鉛華(読み)てつすいえんか(その他表記)ferrimolybdite

最新 地学事典 「鉄水鉛華」の解説

てつすいえんか
鉄水鉛華

ferrimolybdite

化学組成の鉱物。かつて水鉛華ともいったが,molybditeとの混同を避けるために用いない方がよい。直方晶系,空間群Pmmn,格子定数a0.6665nm, b1.5423, c2.9901,単位格子中8分子含む。微細な繊維状結晶の束状・放射状・皮殻状・粉状集合。ダイヤモンド〜絹糸〜土状光沢硬度1〜2。比重4.46。劈開。不明黄・緑黄色,条痕淡黄色。二軸性正,屈折率α1.791〜1.806, β1.808〜1.827, γ1.997〜2.005,2V < 30°。光分散v > r中。多色性X = Y = 無色,Z =灰〜淡黄色。輝水鉛鉱と鉄の硫化物の分解によってふつうに生成。名称は化学組成による。

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参照項目:水鉛華

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「鉄水鉛華」の意味・わかりやすい解説

鉄水鉛華
てつすいえんか
ferrimolybdite

三価の鉄の含水モリブデン酸塩鉱物。モリブデン酸塩鉱物やタングステン酸鉱物は周期律表で同じ列に属する硫黄とともに[XO4]2-型の基本基をもち、原子価も+6と等しいので、系統分類上同じ類に入れられる。自形は報告されていないが、針状a軸方向に伸びたものが放射状集合をなす例が知られている。輝水鉛鉱を含む各種熱水鉱床あるいは気成鉱床、接触交代鉱床の酸化帯に産するほか、いわゆる斑岩銅(はんがんどう)鉱鉱床で輝水鉛鉱を伴うものからも報告されている。日本では、岩手県久慈(くじ)市大川目(おおかわめ)鉱山閉山)、島根県大東(だいとう)町(現、雲南(うんなん)市)東山鉱山(閉山)などから知られている。

 共存鉱物は輝水鉛鉱のほか、黄鉄鉱黄銅鉱石英など。同定はいわゆるカナリア黄の色調、皮膜状の集合状態。輝水鉛鉱と共存していればまず間違いはない。泡蒼鉛(あわそうえん)bismutite(Bi2[O2|CO3])はレモン黄という感じが強く、鉄水鉛華のような橙(だいだい)色を帯びることは少ない。海外で報告されているような緑色を帯びたものは日本ではないようである。命名はその化学成分による。

加藤 昭]


鉄水鉛華(データノート)
てつすいえんかでーたのーと

鉄水鉛華
 英名    ferrimolybdite
 化学式   Fe3+2[MoO4]3・~7H2O
 少量成分  報告なし
 結晶系   斜方(直方)
 硬度    1~2。粉末状のものがほとんどなので、これが正確な数値かどうかは疑問
 比重    3.09
 色     カナリア黄~藁黄、帯緑黄
 光沢    針状の形態が見えるものは金剛~絹糸。多く土状
 条痕    淡黄
 劈開    未報告
       (「劈開」の項目を参照)
 その他   信頼できる化学分析値は6.8H2Oを与える。比重もこの数値で計算

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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