閖上浜(読み)ゆりあげはま

日本歴史地名大系 「閖上浜」の解説

閖上浜
ゆりあげはま

[現在地名]名取市閖上・閖上一―七丁目

名取川が太平洋に入る河口右岸にあり、東方砂丘の内側にひろ浦がある。名取川対岸は藤塚浜ふじつかはま(現仙台市)、西は小塚原こづかはら村。文禄五年(一五九六)二月吉日の名取高柳之内北方ゆりあけ浜名寄帳(伊達家文書)が残り、かつては高柳たかやなぎに含まれていた。地名の由来は養老三年(七一九)海岸に十一面観音像がゆりあげられたので、ゆりあげ浜と称したという。「封内風土記」吉田よしだ村の項によれば、この仏像はその後吉田村高館たかだて山に移されて羽黒権現として祀られ、のち熊野那智権現と号するようになったといわれる。同書に「ゆり上浜」、東禅とうぜん寺にある後藤富蔵遺徳碑文に「淘揚浜」とある。「観蹟聞老志」には「閖上村」として「按閖字不見字書俗間用来」とある。「閖」の字について、元禄一〇年(一六九七)四代藩主伊達綱村が落成したなが大年だいねん(現仙台市)参詣、山門内から東方の浜を見て浜の名をたずね、門の内から水が見えたので今後門の中に水を書くようにといったと伝える。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「閖上浜」の意味・わかりやすい解説

閖上浜
ゆりあげはま

宮城県中部,太平洋岸にある砂浜。名取市に属する。七北田川河口の蒲生から南へ阿武隈川河口の荒浜まで続く単調な海岸で,全長約 25km。狭い砂丘の内側に貞山堀水路通り,その内側は仙南平野水田地帯。名取川の河口北側に井戸浦,南側には広浦の潟湖がある。漁村を示す浜の字がつく地名と製塩地を示す釜の字がつく地名の多いのが特色

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