荒浜(読み)あらはま

精選版 日本国語大辞典 「荒浜」の意味・読み・例文・類語

あら‐はま【荒浜】

  1. 〘 名詞 〙 荒い浜べ。〔日葡辞書(1603‐04)〕
    1. [初出の実例]「郷里の青い荒浜(アラハマ)で〈略〉波にもまれてゐるエビ生舟が浮かんですぐ消えた」(出典真理の春(1930)〈細田民樹〉縛られる)

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日本歴史地名大系 「荒浜」の解説

荒浜
あらはま

[現在地名]亘理町荒浜

本村高須賀たかすか村の南にあって阿武隈川河口に位置する。もとは新浜あらはまと称したという(荒浜安永風土記)。阿武隈川舟運の起点であり、江戸と結ばれる海港でもあった。漁港としても栄えた。「安永風土記」では田五一〇文・畑七一七文で、うち新田三三二文。亘理伊達氏の一円知行地。人頭一一四人のうち寛永一九年(一六四二)の竿答百姓二五人、家数二二一(うち名子二二・水呑二八・借屋五七)。ただし摺鉢谷地すりばちやちには足軽八二軒があった。男五六四・女四五四、馬九。船は一五七艘あり、このうち城米運搬用は五太来舟一一・小舟八・四板舟二二。ほかに無役の御用船が九艘と米沢藩上杉氏の江戸廻米用天当舟三艘がある。そのほかは大概漁船で、銭や鮭・鱒の現物上納が課せられている。


荒浜
あらはま

[現在地名]仙台市荒浜・荒浜新あらはましん

荒浜道により西の荒井あらい村と通じる半農半漁の村。同道と海岸沿いに並行する貞山ていざん堀が直交し、集落はそこに集まる。正保郷帳に旱損と注され、田一八貫二五四文・畑九一二文で、ほかに新田が九貫九二八文。「封内風土記」に戸数七二とあり、南の井土浜いどはまと当村に両属するさかい沼のほか、東西一五〇間、南北八〇〇間ほどのなが沼をあげる。幕末と思われる村毎貫高付(斎藤報恩会蔵)では七六貫三五二文とあり、大規模な新田開発が行われた。「宮城郡地誌」によると戸数一七四、男六三五・女五六五、馬六九。漁業を営む者は四一戸で、五〇石未満の船六七艘を有し、鰈六〇〇駄・鮃七五〇駄・金頭一五駄・鮭三〇〇尾を水揚げし、仙台に出荷した。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「荒浜」の意味・わかりやすい解説

荒浜
あらはま

宮城県南部、亘理(わたり)郡亘理町の一地区。旧荒浜町。阿武隈川(あぶくまがわ)の河口南岸に位置する。1671年(寛文11)以降東廻航路が開けると荒浜港はその基地となり、流域天領や仙台藩領の米、木材が集まった。内陸の江戸貢米を運ぶ拠点として石巻(いしまき)とともに仙台藩の二大港と称され、また仙台へは、のちに貞山堀(ていざんぼり)とよばれた内陸運河により結ばれた。鉄道開通後は漁港となった。荒浜港は鳥ノ海とよばれる潟湖(せきこ)にあり、付近では海水浴、釣り、マリンスポーツや渡り鳥のバードウォッチングが盛んである。

[長谷川典夫]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「荒浜」の意味・わかりやすい解説

荒浜
あらはま

宮城県南部,亘理 (わたり) 町の阿武隈川河口にある漁港。旧町名。貞山堀で七北田川河口の蒲生,塩釜湾,仙台城下に通じ,江戸時代には仙台への御城米の輸送のほか,福島,米沢の米の積出でにぎわい石巻と並んで伊達家の2大港といわれた。荒浜海水浴場は多くの海水浴客でにぎわう。南に接する鳥の海は潮干狩りもできる行楽地となっている。

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世界大百科事典(旧版)内の荒浜の言及

【阿武隈川】より

…福島県東部から宮城県南部を流れる川。白河市西方にある三本槍岳(1917m)東斜面に発し,奥羽山脈と阿武隈高地の間を北流,福島盆地北東隅から阿武隈高地北部を峡谷をなして北東流し,宮城県亘理(わたり)郡亘理町荒浜で仙台湾に注ぐ。幹川流路延長239kmは東北では北上川に次いで第2位,全流域面積5400km2は北上川,最上川に次いで第3位の大河川である。…

※「荒浜」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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