防振ゴム(読み)ボウシンゴム

デジタル大辞泉 「防振ゴム」の意味・読み・例文・類語

ぼうしん‐ゴム〔バウシン‐〕【防振ゴム】

機器や構造物に振動衝撃伝達するのを防いだり、騒音を抑えたりするためのゴム製品

出典 小学館デジタル大辞泉について 情報 | 凡例

日本大百科全書(ニッポニカ) 「防振ゴム」の意味・わかりやすい解説

防振ゴム
ぼうしんごむ

振動や衝撃の伝達を防ぎ、または緩和させる目的で使われる加硫ゴム製品。ゴム製のばねということもできる。防振ゴムは、機械の運転に伴う振動あるいは衝撃が基礎に伝わるのを防止するのに使われる。ディーゼル発電機、コンベヤー鍛造機、油圧プレスなどを防振ゴムで支持するのはこの例で、振動による公害対策として広く使われている。またこれとは逆に、基礎の振動、衝撃が機械に伝えられるのを防止するのにも防振ゴムは使用される。鉄道車両台車につけられているばね系、自動車の懸架装置、精密工作機械の弾性支持などはこの例である。防振ゴムの形状圧縮形、剪断(せんだん)形、複合形があり、目的により適宜使用する。防振ゴムは形状、寸法を適当に選ぶと上下、左右、前後の三方向のばね定数を希望の値にできる特徴がある。またゴムの内部摩擦金属に比べて1000倍以上も大きいので、共振時の振幅を押さえたり、衝撃に伴う自由振動を早く減衰させるのにも都合がよい。とくに高周波振動を吸収する長所がある。しかし、耐高温・低温性に問題があり、油に浸すと膨潤するので、このような場合には耐油性ゴムウレタンゴムなど)を使用する配慮が必要である。

[中山秀太郎]


出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「防振ゴム」の意味・わかりやすい解説

防振ゴム
ぼうしんゴム
rubber vibration isolator

内部摩擦を利用し,振動の伝達防止や緩衝の目的に使用される加硫ゴム製品。特徴として,(1) 種々の形状に作成でき,いずれの荷重(圧縮,引っ張り,剪断)にも適用できる製品が得られる。(2) 内部摩擦が大きく(よくエネルギーを吸収すること),周波数(→振動数)とともに増大するので,共振(→共鳴)時の振幅が比較的小さく,サージング現象もほとんどみられない。(3) ゴム製品なので,金属よりも耐久性に劣る,などがある。圧縮型,剪断型,複合型,ねじり型があり,機器の支持条件によって使い分ける。今日,内燃機関,車両用などから電気洗濯機の足台などの家庭電気製品にいたるまで広く利用されている。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

化学辞典 第2版 「防振ゴム」の解説

防振ゴム
ボウシンゴム
rubber vibration isolator, rubber cushion

機器から(または機器へ)振動が伝わるのを防ぎ,あるいは衝撃を吸収させる目的で用いられる加硫ゴム製品をいう.振動を制御する目的の制振ゴムや防音ゴム,地震のゆれを吸収させる目的の免震ゴム,などもある.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

知恵蔵mini 「防振ゴム」の解説

防振ゴム

機械や構造物に伝わる振動を軽減したり、騒音を低減したりするためのゴム製品。船舶のエンジンや鉄道車両の台車、産業機械のモーターなどに使用される。用途に合わせて形状やゴム強度の異なる製品が多数製造されている。

(2015-10-16)

出典 朝日新聞出版知恵蔵miniについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の防振ゴムの言及

【ばね】より

…単位体積当りに吸収できる振動エネルギーが大きいこと,構造が簡単なことが特色。(7)防振ゴム 金属ばねの代りに,ゴムの弾性を利用して防振に用いるもの。1個で2軸あるいは3軸方向の振動に対処することができ,取付けが容易であって,高周波振動に対する防振,防音効果に優れている。…

※「防振ゴム」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

脂質異常症治療薬

血液中の脂質(トリグリセリド、コレステロールなど)濃度が基準値の範囲内にない状態(脂質異常症)に対し用いられる薬剤。スタチン(HMG-CoA還元酵素阻害薬)、PCSK9阻害薬、MTP阻害薬、レジン(陰...

脂質異常症治療薬の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android