生没年不詳。仏陀(ぶっだ)(釈迦(しゃか))の十大弟子の一人。パーリ語アーナンダĀnandaの音写で、正しくは阿難陀(あなんだ)と写す。歓喜、慶喜と訳す。仏陀の従弟(いとこ)といわれる。出家後、晩年の仏陀に侍者として25年間仕え、仏陀の説法を聞くことが仏弟子中もっとも多く、「多聞(たもん)第一」といわれる。記憶力抜群で、数千語に及ぶ仏陀の説法を一語も間違えずに復誦(ふくしょう)することができた。原始仏教教団では初め女性を入団させなかったが、仏陀の養母らの切なる願いと、阿難の取りなしにより、比丘尼(びくに)の教団が認められるに至った。阿難は、仏陀に近侍すること長きにわたったが、仏陀の生前にはついに悟りを得ることができなかった。しかし仏陀入滅後、マガダ国のラージャグリハで行われた第1回結集(けつじゅう)において悟りを開き、経蔵をまとめるのに貢献した。仏教経典には、仏陀と阿難の対話形式によるものが多い。
[高橋 壯 2016年11月18日]
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…釈迦のいとこ。阿難とともに出家した。仏の前で居眠りして叱責をうけ,眠らぬ誓いをたて,視力を失ったがそのためかえって真理を見る眼をえた。…
※「阿難」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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