限界代替率(読み)げんかいだいたいりつ(英語表記)marginal rate of substitution

日本大百科全書(ニッポニカ)「限界代替率」の解説

限界代替率
げんかいだいたいりつ
marginal rate of substitution

消費者がを消費するとき、ある財yを少量(Δy)だけ減らし、別の財xを少量(Δx)だけ増加させれば、すなわち、y財をx財と代替させれば、以前と同じ満足度を維持することが可能となる。このとき、xyとの正の比率(-Δy/Δx)をxに対するyの「限界代替率」という。消費者が効用を極大化するためには、xに対するyの限界代替率がx財とy財の価格比に等しくならなければならない。なお、限界代替率は、グラフでは無差別曲線の勾配(こうばい)として示される。

 消費者の効用を極大化するためには、限界効用均等の法則が成立すればよい。しかしながら、J・R・ヒックスは、個人の主観的な満足度の尺度である限界効用は恣意(しい)的であるとして、限界効用の比のかわりに限界代替率を用いれば、この恣意性を除去できると主張している。

[畑中康一]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「限界代替率」の解説

限界代替率
げんかいだいたいりつ
marginal rate of substitution

J.ヒックスが『価値資本』 (1939) で用いた概念。2つの財の代替関係を限界効用の比率で表わすもの。A,B2つの財の消費によってある効用水準を達成しようとする場合,AとBのさまざまな組合せが考えられるが,Aの消費を1単位減らした場合,もとの効用水準を維持あるいは補償するためには,Bの消費をどれだけふやしたらよいかを表わす。また,ある生産水準を維持するための生産要素の代替関係を示す場合には技術的限界代替率と呼ぶ。

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世界大百科事典 第2版「限界代替率」の解説

げんかいだいたいりつ【限界代替率 marginal rate of substitution】

消費者の嗜好を表す指標の一つ。いま,ある消費者がある財の組合せを消費しているとしよう。このとき,ある財(X)の消費を1単位増加させるとこの消費者の満足(効用)は増加するから,別の財(Y)の消費を減らしても,当初の効用水準を保つことができる。当初の財の組合せと同じ効用を与える(当初の組合せと無差別にする)ようなYの消費の減少量を,XYに対する限界代替率と呼ぶ。つまり,限界代替率(MRS)とは,X財の消費1単位と交換してもよいとその消費者が考えるY財の量であり,したがって,この消費者が現在の消費の組合せのもとで,Y財に比べてX財をどのくらい好んでいるかを表す指標である。

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