改訂新版 世界大百科事典 「雪眼炎」の意味・わかりやすい解説
雪眼炎 (せつがんえん)
snow blindness
スキーや積雪期登山などに際し大量の紫外線にさらされたとき,通常6~10時間の潜伏期をおいて急激に羞明(しゆうめい)(まぶしがること),流涙,異物感,眼痛等をおこすものをいい,〈雪盲〉,また俗に〈雪目〉ともいう。雪面から反射した紫外線が結膜や角膜を侵すためで,上記の自覚症状のほか,球結膜の浮腫,充血が強く,また瀰漫(びまん)性表層角膜炎diffuse superficial keratitisが認められる。治療法は,紫外線をさけ,眼を安静にしていれば,数日以内に自然に治る。したがってスキーや雪山登山などでは,必ず保護眼鏡(サングラス)を用いるべきである。なお,アーク灯の使用時や溶接のときにも,紫外線によって同様の症状がおこるが,これは電気性眼炎electric ophthalmiaと呼ばれる。
執筆者:南波 久斌
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報