身体の一部分に温熱あるいは寒冷な刺激を加えることによって、病気の好転や自覚症状の軽減を図る療法。種類には、温罨法(乾性、湿性)、冷罨法(氷、冷水)、プリースニッツ氏法、巴布(ぱっぷ)がある。
温罨法は、身体の一部を温めて局所に充血をおこして、けいれんを和らげたり、不用産物の吸収を促したり、化膿(かのう)を早めたりするために行う。乾性温罨法には、懐炉(かいろ)、湯たんぽ、行火(あんか)などがあり、熱傷予防のために、いずれもカバーを用いる。湯たんぽによる「やけど」は温熱刺激が長時間にわたったためのもので、皮膚の深部組織にまで刺激が及び、なかなか治癒しないので、とくに注意が必要である。湿性温罨法はタオル、フランネルなどを温湯または温薬湯に浸し、固く絞って局所に密着させ、油紙、防水布などで覆い、包帯などで固定する。湿布(しっぷ)の上から、懐炉などを貼用(ちょうよう)すると保温時間は長くなる。局所の皮膚の保護のためにはオリーブ油などを塗布して熱傷を避けるようにする。
冷罨法は、身体の一部を冷やし、局所の血管を収縮させ、鎮痛、消炎させるために行うが、発熱時には苦痛を和らげるためにも用いる。冷水罨法は湿性温罨法に準じて行う。氷罨法は氷枕(こおりまくら)、氷嚢(ひょうのう)、氷頸(ひょうけい)を用いる。入れる氷の大きさは、氷枕ではクルミ大、ほかはそれ以下に砕き、氷の角をとって各容器の3分の2くらいまで入れ、氷の間隙(かんげき)を埋めるために少量の水を加える。中の空気をよく抜いたあと、カバーをかけて用いる。氷が細かくなっている場合は、水を入れない。氷頸を使う場合は中央を一ねじりして用いると、頸部に安定して使いやすい。
プリースニッツ氏法とは、冷湿布をそのままにしておき、体温で温められて温湿布となるまで待つ方法で、冷温両用の効果を期待したものである。
巴布は、巴布剤をリント布に伸ばして冷、温いずれかで貼用するが、最近では、そのまま貼用できるものが発案され、打ち身、捻挫(ねんざ)などに用いられる。
市販されているマジックパックなどの名称のものは、そのまま温めるか冷やして、湯たんぽ、氷枕、氷嚢にかえて手軽に使用できる。
[山根信子]
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…主として鎮痛,消炎,鎮静,滲出抑制,腫張抑制などの目的で用いられる。罨法(あんぽう)ともいう。湿布には温湿布と冷湿布がある。…
※「罨法」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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