化学辞典 第2版 「電気防食(法)」の解説
電気防食(法)
デンキボウショクホウ
electrolytic protection
電気化学的防食法ともいう.電気化学的に腐食を防止する方法.主として構造物,大型装置,船,地下埋設金属などの防食に用いられる.電気防食には,防食したい金属にカソード電流を流し,電位を卑にすることにより金属の溶解を抑制する陰極防食法(cathodic protection)と,アノード電流を流し,金属を不動態化する陽極防食法(anodic protection)とがあるが,一般には前者が用いられる.また,腐食速度をゼロにするのに必要なカソード電流密度,電位を,それぞれ防食電流密度,防食電位という.通電方式には次の2種類がある.
(1)外部電源方式:炭素,黒鉛,鋼,アルミニウム,マグネタイトなどをアノードとし,防食すべき金属をカソードとして外部電源により通電する方法.
(2)流電陽極方式:防食すべき金属をカソード,これより卑な金属をアノードとして電池を組み,外部回路を閉じて通電する方式で,アノードは必然的に消耗する.この電極を流電電極(galvanic anode)または犠牲電極とよび,Zn,Al,Mg,Mg-6質量%Al-3質量%Zn合金などが用いられる.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報