電波料(読み)でんぱりょう(英語表記)time charge

改訂新版 世界大百科事典 「電波料」の意味・わかりやすい解説

電波料 (でんぱりょう)
time charge

広告放送料金の一つ。広告主が番組提供というかたちで放送広告を出稿するさい,番組の制作費とともに民放に支払う料金。番組提供とは,番組の開始時と終了時に提供スポンサー名の表示があり,かつ番組内のCM枠(複数)に自社CMを放送する広告形態である。制作費は実費回収という原則に基づく。また電波料は番組時間の長短や放送する曜日時刻によって変わるので,番組提供にあたって広告主が支払う金額はケースバイケース決められる。また民放各社が自社放送区域内の経済力,人口,区域内他広告媒体の実態などを配慮して決め,公示される。一般に,関東,近畿などの大都市圏の広域局は高く,人口の少ない県域局は全体に低い。時間帯による料金は,平均視聴率の高いプライムタイム(夜7~11時)がふつうAタイムと呼ばれてもっとも高く,Bタイム,Cタイムと順に安くなる。なお,広義にはスポット料金をも含めて電波料と呼ぶことがある。
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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電波料」の意味・わかりやすい解説

電波料
でんぱりょう

民間放送が広告(CM)放送の対価として広告主から得る料金。狭義には番組提供の広告主に対して請求する放送料金(タイム料金)のみをさすが、広義にはほかにスポットCMや案内広告、番組内で放送されるPT(パーティシペーティング・コマーシャル)の料金も含める。民放で番組を提供するスポンサーは、狭義の電波料と、番組制作費の両方を負担することになる。広狭どちらの電波料も、視聴率・聴取率高低を基準に放送時間帯ごとに料金額が決められている。時間帯区分は、もっとも視聴率・聴取率の高い時間をAとし、以下特B・B・C・Dまで、全放送時間を平日・休日の別に区分して設定する。テレビは夜、ラジオは朝にAタイムが設けられるのが普通であり、このAタイムがいわゆるゴールデンアワー(午後7~10時)やプライムタイム(午後7~11時)とよばれる時間帯である。なお、電波料はまた、その局のエリア内人口数や局が属するネットワーク力の違いなどによる媒体力の大小によっても、料金額に差がある。

[伊豫田康弘]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電波料」の意味・わかりやすい解説

電波料
でんぱりょう

放送料ともいう。広告スポンサーが民間放送局に提供番組を放送してもらった代金として支払う料金。電波料はラジオかテレビか,視聴率の高い時間帯かどうか,その放送局のサービスエリアに住む人口や生活水準,番組の提供期間 (1回限りか長期継続か) など,多くの要因で決る。スポンサーは放送局に電波料のほか番組制作費を支払い,その両方を広告費として自分の商品やサービスの原価に計上し,消費者大衆から回収する。この電波料の本質については議論が多く,まだ定説はない。

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世界大百科事典(旧版)内の電波料の言及

【広告】より

…当時,東京のサービスエリア内にあった受像機は3000台程度で,十分な広告主は得られないから,経営は成り立たないであろうとみられていたが,正力松太郎(しようりきまつたろう)は受像機数よりも,その前に集まる視聴者の数によって媒体価値が決まると考え,アメリカから購入した大型受像機200台を盛場に備えつけ,これがテレビの魅力を紹介する結果になって,普及を促したといわれる。テレビ放送局は55年から60年にかけて全国の主要都市に開設され,そのサービスエリアはほとんど全国に広がり,広告主によって支払われる広告費(電波料および制作費)も,1959年にはテレビはラジオを抜き,さらに75年には新聞をも抜いて,媒体別で首位を占めるに至った。 広告媒体のうち,とりわけテレビの出現は画期的なものであった。…

※「電波料」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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