電磁遮蔽(読み)デンジシャヘイ

デジタル大辞泉 「電磁遮蔽」の意味・読み・例文・類語

でんじ‐しゃへい【電磁遮蔽】

電気回路などを金属でおおって、電磁波進入や漏れを遮断すること。電子機器の誤作動や雑音防止などのために行う。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「電磁遮蔽」の意味・わかりやすい解説

電磁遮蔽
でんじしゃへい

電流は、流れている第一コイルとその付近にある第二コイルの間に第三の短絡コイルまたは金属板を挿入すると、これらに誘起する電磁誘導電流のために、第二コイルは第一コイルの磁束変化の影響を受けないようになる。これを電磁遮蔽という。

 一般に、ある一つの媒質中を伝播(でんぱ)してきた電磁波は、異なる媒質の境界面に突き当たると、一部は反射し、他は新しい媒質中に入射し、吸収されながら伝播して行く。媒質が金属の場合は渦電流損失によって、金属中の電場、磁場はexp(-d/δ)の形で指数関数的に減衰し、きわめて高い遮蔽効果を表す。ここでdは金属表面から測った距離、δは電磁場の吸収による減衰率を特徴づける長さで、表皮の深さとよばれ、δ=(2/ωμσ)(ωは電磁場の角振動数、μは金属の透磁率、σは電気伝導度)と表される。実際に電磁遮蔽を行うには、外部の雑音源から隔離したいものを包む場合と、雑音源を包んで外部に放出しないようにする場合があるが、その方法は周波数によって異なる。電磁場の振動周波数が数十キロヘルツ以上では、電気伝導度の大きい銅やアルミニウム金属板を使うのが効果的である。また金網を使用して遮蔽することもできるが、その網目波長に比べて十分小さいことが必要である。一方、低周波の磁場に対してはケイ素鋼またはパーマロイなどの強磁性材料を使うのが効果的である。

[安岡弘志]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「電磁遮蔽」の意味・わかりやすい解説

電磁遮蔽
でんじしゃへい
electromagnetic shielding

外部の電場の影響が及ばないような空間をつくる静電遮蔽と,磁場の影響を減少させる磁気遮蔽とがある。シールドともいう。静電遮蔽は銅のような金属導体で周囲を完全に囲むことにより比較的容易に実現できる。普通は金属板の代りに金網を使ってもよい。磁気遮蔽はパーマロイなどの強磁性体を用いた囲いで,ある程度は実現できるが,静磁気の場合に完全な遮蔽は一般にむずかしい。厚い板よりも薄い板を,間隔を離して2重に用いて囲んだほうが有効である。高周波の場合は渦電流の効果があるので,金属導体でほぼ完全に磁気が遮蔽される。金属網でおおったシールド線やシールドルームが利用される。

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改訂新版 世界大百科事典 「電磁遮蔽」の意味・わかりやすい解説

電磁遮蔽 (でんじしゃへい)

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世界大百科事典(旧版)内の電磁遮蔽の言及

【遮蔽】より

…シールドともいう。電界,磁界,光,放射線,音,熱などの影響が対象物に及ばないようにすること。一般的にはこれらが透過しにくいもので覆えばよい。以下では電磁気的遮へいについて述べる。 電流が流れればその周辺に磁界が,電圧をかければ電界が発生し,電気火花や急激な電圧,電流の変化が起これば電波が発生する。これらは周辺の電気回路に影響を与え,これを意図的に用いる場合のほかは各種の妨害となる。そこで,妨害の発生側,妨害から保護したい装置,伝送線路などを遮へいの対象に選び,妨害を防止する。…

※「電磁遮蔽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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