空間の一部を他の部分から電気的に分離すること。方法は、静電遮蔽したい物体を金属で囲み、接地することである。金属は箔(はく)のように薄いものであってもよく、また、細い針金で編んだものであってもよい。静電気では金属のような導体は全体が等電位となり、電界(電場)はその内部に侵入しない。それゆえ、空間を金属で囲み、接地すると、その内部空間と外部空間とは電気的に独立となる。外部空間で電気的になにがおこっても、その影響は内部空間には及ばない。逆に、内部空間の電気的現象の影響は外部空間に及ばない。静電遮蔽の目的は、電気回路などの装置に、外界からくる好ましくない電気的影響(雑音)を遮断することにある。また、電気回路が電波を放射して外部に悪影響を及ぼさないようにするためである。遮蔽は静電気ばかりでなく高周波回路などにも用いられる。微弱な電気信号を送るのに用いられるシールド線は遮蔽の応用例である。
[山口重雄]
出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
…そこで,妨害の発生側,妨害から保護したい装置,伝送線路などを遮へいの対象に選び,妨害を防止する。 電界からの遮へい(静電遮へい)には導体の網で包み,網を接地すればよい。磁界からの遮へい(磁気遮へい)には鉄板などの強磁性材料で包み,磁束が通り抜けないようにすればよいが,理想的な強磁性材料がないため,遮へい用材料を大量に使わないと十分な効果が得られない。…
…すなわち,導体で囲まれた空間(空洞)には外部電場の影響は及ばない。これを静電遮へいと呼ぶ。完全な空洞でなくても,金属の網で囲まれた領域の内部などには外部電場の影響は及びにくい。…
※「静電遮蔽」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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