精選版 日本国語大辞典 「霑」の意味・読み・例文・類語
しお・る しほる【霑】
〘自ラ下二〙
① 濡れてうるおう。しめる。
② 濡れて塩けを帯びる。また、濡れて汚れる。濡れて弱る。
※金槐集(1213)冬「ふりつもるゆきふむいそのはまちどりなみにしほれてよはになくなり」
③ 泣くことをいう女房詞。
※東大本女中詞(1716‐36頃)「しほるる、むつかる 啼事」
④ (能楽論や連歌論で) しっとりとしてうるおいのある趣きが自然ににじみ出る。
※連理秘抄(1349)「詞ききの句は、いかにもしみじみとしほれたるやうにて、付けよく面白くおぼゆる也」
しおり しほり【霑】
〘名〙 (動詞「しおる(霑)」の連用形の名詞化。「しをり」と書かれることも多い)
① しおしおとあわれ深い感じを催させること。しみじみともののあわれを感じさせること。また、そのようなもの。
② 能楽で、泣くことを表現する唯一の型。面(おもて)をくもらせ(ややうつむけ)て、左、右、または両の手のひらを内側にして目の前にかざすこと。
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