青柴垣神事(読み)あおふしがきしんじ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「青柴垣神事」の意味・わかりやすい解説

青柴垣神事
あおふしがきしんじ

島根県松江市美保関町の美保神社で 4月7日に行なわれる例祭氏子のなかから 2軒の頭屋を決め,それぞれの頭屋を代表する頭人は前日から精進潔斎断食をし,神憑り状態ともいわれるもうろうとした状態で祭りに臨む。頭人は,その妻である小忌人(おんど)とともに 2隻の神船にそれぞれ乗り込む。この船には,中央 2間四方にサカキ(榊)四隅に立てて幕をめぐらした「青柴垣」がつくられている。これは美保神社の祭神である事代主神が,国譲を承認したあとに乗っていた船を覆して青柴垣とし,その中に身を隠したとする『古事記神話にちなむものとされる。頭人らはこの中に入り,笛や太鼓囃子のなか,美保関の湾内(→美保湾)を 1周して社前の浜に戻り,4人のささらすりの童子の先導で,行列を組んで神社へ上がり奉幣を行なう。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「青柴垣神事」の意味・わかりやすい解説

青柴垣神事
あおふしがきしんじ

島根県松江市美保関(みほのせき)町の美保神社において4月7日に行われる神事。『古事記』に語られている国譲りの神話に由来する古式神事として著名である。神事は3月晦(みそか)夜の参籠(さんろう)から始まり、4月6日まで人別(にんべつ)行事、鑽火(きりび)、斎浦潮掻(しおかき)などの前段諸神事があり、7日に本祭を迎える。この日はまず宮司が当屋(とうや)に参り、ついで御舟の儀に移る。これは、2隻の御舟に青柴(あおしば)で垣を構え、1隻には中に波剪御幣(なみきりごへい)を納めた唐櫃(からびつ)を置き、宮司、一の当屋、二の当屋が分乗して、いったん美保関港の中央にこぎ出したのち、一気に社前の宮の灘(なだ)へ寄せてくるもので、海岸ではこれを待ち受けていた群参者が、御舟の榊(さかき)、注連縄(しめなわ)、敷薦(しきこも)などを奪い合い、大漁、航海安全のお守りとする。こののち8日から14日まで後儀の神事があり、これによって翌年の当屋を定め、新しい当人見参の神楽(かぐら)を奉奏して終了する。

[吉井貞俊]

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世界大百科事典(旧版)内の青柴垣神事の言及

【美保神社】より

…旧国幣中社。例祭の4月7日当日には事代主神の故事に由来する青柴垣神事,12月3日に天神の使者が降って国土奉献を議したことにちなむ諸手船(もろたぶね)神事が行われるほか,特殊神事が多い。【鎌田 純一】。…

※「青柴垣神事」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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