プリニウス(読み)ぷりにうす(英語表記)Gaius Plinius Secundus

デジタル大辞泉 「プリニウス」の意味・読み・例文・類語

プリニウス(Plinius)

(Gaius ~ Secundus)[23~79]古代ローマの将軍・博物学者。古代の科学知識の集大成ともいうべき「博物誌」の著作で有名。ベズビオ火山の大爆発の際、現地調査中に遭難死。大プリニウス
(Gaius ~ Caecilius Secundus)[61ころ~112ころ]古代ローマの政治家文人おい養子トラヤヌス帝に信任され、執政官・総督などを歴任。「書簡集」が残存。小プリニウス

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精選版 日本国語大辞典 「プリニウス」の意味・読み・例文・類語

プリニウス

  1. [ 一 ] ( Gaius Plinius Secundus ガイウス━セクンドゥス ) 古代ローマの将軍・博物学者。大百科全書「博物誌」三七巻を編み、古代科学知識を集大成した。ベスビオ火山噴火の際、調査に行き遭難死。大プリニウスと呼ばれる。(二三‐七九
  2. [ 二 ] ( Gaius Plinius Caecilius Secundus ガイウス━カエキリウス=セクンドゥス ) 古代ローマ帝政期の政治家。[ 一 ]の甥で養子。「書簡集」一〇巻で知られる。小プリニウス。(六二頃‐一一四頃

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「プリニウス」の意味・わかりやすい解説

プリニウス(Gaius Plinius Secundus)
ぷりにうす
Gaius Plinius Secundus
(23/24―79)

帝政期ローマの軍人、行政官、歴史家、博物学者。大プリニウスともよばれる。裕福な騎士を父として北イタリアの小都市コムム(現、コモ)に生まれ、軍人となり、主として北方ゲルマニアで勤務した。その後、法廷活動に従事するかたわら歴史、文法、修辞学などを研究していたが、皇帝ネロの末年(67/68)にユダヤ反乱鎮圧中のローマ軍司令官ウェスパシアヌスの息子ティトゥスの幕僚となり、ネロ死後の内乱に参加した。ウェスパシアヌスの皇帝即位(69)後は、属州プロクラトルprocuratorを歴任し、宮廷でも重用された。ミセヌムを基地とする艦隊の司令官となったが、79年8月24日ウェスウィウス火山(ベスビオ火山)が噴火すると艦艇を率いて調査・救助に赴き、噴煙に巻き込まれて死亡した。天文、気象、地理、人類、動植物などを解説した有名な『博物誌』37巻のほか、多くの著作がある。とくにその歴史作品は、タキトゥスなど後代の歴史家によって参照されているが、現存していない。

島田 誠]

『中野定雄他訳『プリニウスの博物誌』全3巻(1986・雄山閣出版)』


プリニウス(Gaius Plinius Caecilius Secundus)
ぷりにうす
Gaius Plinius Caecilius Secundus
(61ころ―113)

ローマの政治家、弁論家、著作家。北イタリアのコムム(現コモ)生まれ。小プリニウスともよばれる。早く父に死別し、母方叔父である大プリニウスの養子となる。法廷弁論家として活躍する一方、政治家としても数々の重要官職を歴任し、110年ころビテュニア州総督に任じられ、当地で死亡したと思われる。タキトゥスやスエトニウスらと親交があり、文筆活動も行った。現存する著作としては、100年のコンスル(執政官)就任に際してのトラヤヌス帝への『頌詞(しょうし)』Panegyricus、および『書簡集』Epistulae(10巻)があり、とくに後者は、ウェスウィウス(ベスビオ)火山の大噴火の模様と叔父の死に関する手紙や総督在任中のキリスト教徒に対する処置など、貴重な報告を多く含み、当時のローマ社会を知るうえできわめて重要な史料である。

[島 創平]

『『プリニウス書簡集』(講談社学術文庫)』

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百科事典マイペディア 「プリニウス」の意味・わかりやすい解説

プリニウス[大]【プリニウス】

ローマ帝政期の軍人,政治家,学者。海外領土の総督を歴任するかたわら文献を集め,著した《博物誌》37巻は,動物・植物・鉱物・地理・天文・医学・芸術等2万項目に及ぶ一種の百科全書であった。ベスビオ火山爆発の視察に行って死んだ。大プリニウスと呼ばれる。
→関連項目図像学チューレバトゥーミ百科事典ファルコネプリニウス[小]

プリニウス[小]【プリニウス】

ローマ帝政期の政治家,著作家。プリニウス(大)の甥(おい)。小アジアのビテュニア知事として業績をあげた。トラヤヌス帝に対する称賛演説(《頌詞》)と,出版を目的に書いた《書簡集》10巻が現存する。中でもベスビオ火山の爆発を描いた手紙,およびキリスト教徒の扱いに関するトラヤヌス帝との往復書簡が名高い。小プリニウスと呼ばれる。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「プリニウス」の意味・わかりやすい解説

プリニウス(大)
プリニウス[だい]
Plinius Secundus, Gaius

[生]23/24. コムム
[没]79.8.24. スタビアエ
ローマの百科全書学者。軍人として身を立て,ゲルマニアで騎兵隊を指揮。ネロの治世には文筆に従事。 70年以後,ガリア,アフリカ,スペインの行政長官を歴任。ナポリ湾のミセヌムに海軍の提督として在任中,ベズビオ火山の大爆発の犠牲になった。彼の百科全書『博物誌』 Historia naturalis (37巻) は,宇宙論,地理学,民族学,人類学,生理学,動植物学,薬学,鉱物学,冶金学,造形美術などにわたる約3万 5000項目からなり,当時の芸術,科学,文明に関する情報の宝庫である。

プリニウス(小)
プリニウス[しょう]
Plinius Caecilius Secundus, Gaius

[生]61/62. コムム
[没]113頃.ビチュニア
ローマの書簡作家。大プリニウスの甥で養子,タキツスの友,クインチリアヌスの弟子。弁護士として世に出て,一連の官職を歴任。最後はビチュニア総督をつとめた。トラヤヌス帝に対する頌徳演説1編のほか,現存するのは 120通あまりの手紙を集めた『書簡集』 Epistulae (10巻) で,79年のベズビオ火山の爆発の描写,彼自身の別荘の記述,キリスト教徒の扱いについて述べているトラヤヌス帝との往復書簡など,文化史的価値が高い。

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山川 世界史小辞典 改訂新版 「プリニウス」の解説

プリニウス(小)(プリニウス(しょう))
Gaius Plinius Caecilius Secundus

61頃~113頃

古代ローマ帝政期の政治家,著述家。プリニウス(大)の甥かつ養子。政治家としてはトラヤヌス帝の信任を受けて小アジアのビティニア州総督などを務め,文人としては『書簡集』を残した。


プリニウス(大)(プリニウス(だい))
Gaius Plinius Secundus

23頃~79

古代ローマ帝政期の騎士身分の軍人で学者。『博物誌』の大著がある。ウェスウィウス火山の爆発のとき,艦隊司令長官として殉職した。

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旺文社世界史事典 三訂版 「プリニウス」の解説

プリニウス
Gaius Plinius Secundus

23ごろ〜79
古代ローマの博物誌家・軍人
主著『博物誌』37巻は一種の理科全書で,後世になり,大いに利用された。ヴェスヴィオ火山大噴火の視察に行き,有害ガスで窒息死した。

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