内科学 第10版 「鞭虫症」の解説
鞭虫症(線虫症)
成虫は桃灰色で鞭状の4 cm大となり,1~3年生存する.虫卵は小腸で成虫となり,おもに盲腸・上行結腸・その他大腸に移動し,頭部を腸壁に侵入させる.1人に200前後の虫体が存在する.感染は汚染土壌を介した経口感染である.
ほとんどの患者は無症状か軽度の好酸球増加程度である.小児の慢性腸炎では腹痛・下痢・鉄欠乏性貧血を起こし,重症化するテネスムス(裏急後重)・粘性下痢・血便となる.感染虫体数が多い場合には発育遅延が起こることもある.
便の虫卵検査で診断され,虫卵は40~50 μmの樽状で厚い卵殻があり,両端には半透明の栓が存在する.大腸内視鏡による粘膜面観察で成虫を確認することもできる.
治療では以下の抗寄生虫薬が選択される.メベンダゾールやアルベンダゾールの単回投与では効果は50%未満である.重症例では長期投与や複数薬が併用される場合もある.①メベンダゾール200 mg(分2)3日間.保険適応有.②アルベンダゾール400 mg(分1)3日間.保険適応外.[立川夏夫]
■文献
Farid Z, Patwardhan VN, et al: Parasitism and anemia. Am J Clin Nutr, 22: 498-503, 1969.
Stolk WA, de Vlas SJ, et al: Anti-Wolbachia treatment for lymphatic filariasis. Lancet, 365: 2067, 2005.
出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報