鞭虫症

内科学 第10版 「鞭虫症」の解説

鞭虫症(線虫症)

 鞭虫(Trichuris trichiura)は熱帯の高温多湿地域に多く,推定感染人口は5億人と推定され,流行地では人口の90%が罹患している可能性もある.
 成虫は桃灰色で鞭状の4 cm大となり,1~3年生存する.虫卵は小腸で成虫となり,おもに盲腸・上行結腸・その他大腸に移動し,頭部を腸壁に侵入させる.1人に200前後の虫体が存在する.感染は汚染土壌を介した経口感染である.
 ほとんどの患者は無症状か軽度の好酸球増加程度である.小児の慢性腸炎では腹痛下痢・鉄欠乏性貧血を起こし,重症化するテネスムス(裏急後重)・粘性下痢・血便となる.感染虫体数が多い場合には発育遅延が起こることもある.
 便の虫卵検査で診断され,虫卵は40~50 μmの樽状で厚い卵殻があり,両端には半透明の栓が存在する.大腸内視鏡による粘膜面観察で成虫を確認することもできる.
 治療では以下の抗寄生虫薬が選択される.メベンダゾールやアルベンダゾールの単回投与では効果は50%未満である.重症例では長期投与や複数薬が併用される場合もある.①メベンダゾール200 mg(分2)3日間.保険適応有.②アルベンダゾール400 mg(分1)3日間.保険適応外.[立川夏夫]
■文献
Farid Z, Patwardhan VN, et al: Parasitism and anemia. Am J Clin Nutr, 22: 498-503, 1969.
Stolk WA, de Vlas SJ, et al: Anti-Wolbachia treatment for lymphatic filariasis. Lancet, 365: 2067, 2005.

出典 内科学 第10版内科学 第10版について 情報

家庭医学館 「鞭虫症」の解説

べんちゅうしょう【鞭虫症 Trichuriosis】

[どんな病気か]
 高温多湿地域に多く、日本でもしばしば感染者がみられます。虫卵(ちゅうらん)を食物(生野菜など)とともに食べてしまうことで感染します。成虫は大腸(だいちょう)の回盲部(かいもうぶ)、虫垂(ちゅうすい)に寄生します。
[症状]
 寄生数が少ない場合は無症状ですが、寄生数が多くなると下痢(げり)などの急性腸炎や慢性腸炎の症状がみられます。
 子どもで重症化した場合は、水性・粘液性(ねんえきせい)の下痢や貧血(ひんけつ)がみられます。
[検査と診断]
 糞便(ふんべん)を検査して虫卵が見つかれば診断がつきます。また、血液を調べると、好酸球(こうさんきゅう)(白血球(はっけっきゅう)の一種)の増加がみられます。
[治療]
 メベンダゾールを3日間内服します。副作用がありますから、必ず専門医を受診して治療を受けましょう。
 野菜などを生で食べるときは、予防のために流水でよく洗いましょう。

出典 小学館家庭医学館について 情報

一度利用した製品を捨てずにそのまま再使用すること。ごみの削減に重要だとされる「3R」の一つで、衣類・服飾品や家電などさまざまな品目が取り扱われている。リユース商品の専門店やイベント、フリーマーケット...

リユースの用語解説を読む