生没年不詳。仏陀(ぶっだ)時代の中インドのマガダ国王ビンビサーラの妃(きさき)。サンスクリット語の原名はバイデーヒーVaidehīで、ビデーハ人の女(王女)という意味であるが、コーサラ国の王女ともいい、出自不明。アジャータシャトル(阿闍世(あじゃせ)王)の生母で、事跡はなんら伝えられていないが、『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』では、アジャータシャトルが父王を殺害するため牢獄(ろうごく)に幽閉したとき、夫人はひそかに食を獄中に給し、自らもまた幽閉されるに至ったという「王舎城(おうしゃじょう)の悲劇」を伝える。そのとき夫人は仏陀(釈迦(しゃか))を念じ、説法を請い、ここに浄土への教えが、仏陀により初めて開演されたという。
[瓜生津隆真 2016年11月18日]
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