韋提希夫人(読み)いだいけぶにん

日本大百科全書(ニッポニカ)「韋提希夫人」の解説

韋提希夫人
いだいけぶにん

生没年不詳。仏陀(ぶっだ)時代の中インドのマガダ国王ビンビサーラ(きさき)。サンスクリット語の原名はバイデーヒーVaidehīで、ビデーハ人の女(王女)という意味であるが、コーサラ国の王女ともいい、出自不明。アジャータシャトル阿闍世(あじゃせ)王)の生母で、事跡はなんら伝えられていないが、『観無量寿経(かんむりょうじゅきょう)』では、アジャータシャトルが父王を殺害するため獄(ろうごく)に閉したとき、夫人はひそかに食を獄中に給し、自らもまた幽閉されるに至ったという「王舎城(おうしゃじょう)の悲劇」を伝える。そのとき夫人は仏陀(釈迦(しゃか))を念じ、説法を請い、ここに浄土への教えが、仏陀により初めて開演されたという。

[瓜生津隆真 2016年11月18日]

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精選版 日本国語大辞典「韋提希夫人」の解説

いだいけ‐ぶにん ヰダイケ‥【韋提希夫人】

(「いだいけ(韋提希)」はVaidehī の音訳) 古代インドのマガダ(摩訶陀)国王ビンビサーラ(頻婆娑羅)の(きさき)。子のアジャータシャトル(阿闍世)に幽閉された時、仏陀に教えを請うたので、仏陀は「観無量寿経」を説き浄土往生の道を示されたという。韋提希。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典「韋提希夫人」の解説

韋提希夫人
いだいけぶにん
Vaidehī

古代インドのマガダ国王ビンビサーラの王妃。自分の息子アジャータシャトル (阿闍世) が父王を幽閉したとき,ひそかに王に食物を運び,それが発覚して自身も幽閉された。釈尊は彼女のために『観無量寿経』を説いたといわれる。原義は「ビデーハ国の女」。

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世界大百科事典 第2版「韋提希夫人」の解説

いだいけぶにん【韋提希夫人 Vaidehī】

釈迦と同時代の中インド,マガダ(摩掲陀)国ビンビサーラ王の妃。夫人は妃の意。生没年不詳。王子アジャータシャトルが王を幽閉し,餓死させようとしたとき,ひそかに肌に粉をぬり,装身具に飲みものを満たして牢を訪れ,王を養ったが,発覚し,自らも幽閉された。牢内からの彼女の祈りにこたえて釈迦が現れ,この世に絶望して阿弥陀仏の浄土を願う妃に阿弥陀仏やその浄土を観想する方法を教える。このときの教えが《観無量寿経》であるとされる。

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