出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
素戔嗚尊(すさのおのみこと)の娘。根国(ねのくに)を訪れた大己貴神(おおなむちのかみ)が、素戔嗚尊に蛇、蜈蚣(むかで)、蜂(はち)のそれぞれの室(むろ)に入れられて試練を受けたとき、呪物(じゅぶつ)の比礼(ひれ)を与えて難を逃れさせ、その妻となって大己貴神とともに聖なる武器、祭器を奪って根国を脱出する。大己貴神は、須勢理毘売命を妻にして初めて大国主命(おおくにぬしのみこと)(葦原中国(あしわらのなかつくに)の支配者)となることから、巫女(みこ)王的本質をもつといえる。なお、『出雲国風土記(いずものくにふどき)』(神門郡滑狭郷(かんとのこおりなめさのさと))にみえる和加須世理比売命(わかすせりひめのみこと)は、その原像であろう。
[吉井 巖]
(神田典城)
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…それを怒った八十神はオオナムチを欺いて二度にわたり殺すが,そのつど母神に助けられて蘇生し,祖神スサノオのいる根(ね)の国へ逃れる。根の国ではスサノオから課された蛇の室(むろ),むかで・蜂の室,野焼きなどの難題を解決したことにより,スサノオの娘須勢理毘売命(すせりびめのみこと)を妻となし,また宝器〈生大刀(いくたち)生弓矢(いくゆみや)〉を授かり,それをもって八十神を追い払い初めて国の主となったという。以上の話には動物報恩譚,末子成功譚,難題婿といった説話の型がふまれており,民話的な興趣があるが,根幹は若者に試練を課した古代成年式に基づく王の即位式の説話化と見ることができる。…
※「須勢理毘売命」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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