赤ちゃんが産道を通過する際に受ける圧迫によって頭蓋骨をおおっている骨膜の一部がはがれ、そこに血液がたまってこぶ状に隆起したものです。側頭部にできることが多いのですが、前頭部や後頭部にできることもあります。通常はひとつですが、2つできることもあります。
出生当日よりも2~3日してから目立ってきます。触れると内部に液体がたまっている感じ(波動性)があり、押してもくぼみができません。通常、出血量は少なく、全身状態に影響を与えるものではありませんが、新生児期の
治療は不要で、2~3カ月で自然に吸収されます。
佐藤 尚
出典 法研「六訂版 家庭医学大全科」六訂版 家庭医学大全科について 情報
頭血腫(ずけっしゅ)ともいい、分娩(ぶんべん)時におこる新生児の骨膜下血腫で、新生児が狭い産道を通過するときに強い圧迫を受けて頭蓋(とうがい)の変形をきたし、骨膜と頭蓋骨の間に血腫を生ずる場合をいう。表面上は単なるこぶと同じであるが、頭血腫ではその範囲が縫合線を越えることがなく、このことにより産瘤(さんりゅう)、皮下血腫、帽状腱(けん)膜下血腫と区別される。約1か月程度で吸収されるが、ときに吸収されずに広範な石灰化を残す場合もある。
[加川瑞夫]
…治療の必要はない。 産瘤は似たような症状を呈する頭血腫cephalhematomaと区別しなければならない。頭血腫は頭の頂上で少し外側にできるこぶのようなふくらみで,頭の骨とそれを包む骨膜との間に起こった出血が原因である。…
…産瘤は分娩後24時間~36時間で消失する。ときに頭蓋骨と骨膜との間に血腫(頭血腫)をつくったり,頭蓋内に出血することもある。
【分娩の異常】
分娩の異常とは,分娩の3要素のいずれか一つまたは二つ以上の異常によって,分娩が障害されることをいうが,その全般については〈異常分娩〉の項目にゆずり,ここではそのうちの産道の異常,損傷にしぼって記述したい。…
※「頭血腫」について言及している用語解説の一部を掲載しています。
出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」
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