家庭医学館 「頭部浅在性白癬」の解説
とうぶせんざいせいはくせんしらくも【頭部浅在性白癬(しらくも) Ringworm of Scalp】
頭部の皮膚や毛に皮膚糸状菌(ひふしじょうきん)が感染したもので、子どもによくできますが、乳幼児やおとなにもみられることがあります。
原因菌でもっとも多いのは犬小胞子菌(いぬしょうほうしきん)で、これはネコやイヌから人にうつる糸状菌です。そのほか、猩紅(しょうこう)色菌、菫(きん)色菌などによってもおこります。
[症状]
菌が毛の周囲をとりまくように寄生するか、毛の内部に侵入するかで症状は異なります。前者では、頭皮に円形状の紅斑(こうはん)と鱗屑(りんせつ)がみられ、毛が途中で折れるため脱毛斑(だつもうはん)となります。犬小胞子菌や猩紅色菌によるものの多くはこの型です。後者では、形のふぞろいな脱毛斑と、毛孔(もうこう)のところに黒点がみられます。これは菌が毛の中に寄生して毛が弱くなり、皮膚面で切れたためです。この特徴から、黒点状白癬(こくてんじょうはくせん)と呼ばれています。菫(きん)色菌、禿滑菌(とくかつきん)、噴火口状菌が原因です。
毛の周囲に菌が寄生する場合は、脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん)、頭部粃糠疹(とうぶひこうしん)、乾癬(かんせん)などとまぎらわしいため、真菌検査が欠かせません。誤って副腎皮質(ふくじんひしつ)ホルモン(ステロイド)薬を外用すると、ケルスス禿瘡(とくそう)(「ケルスス禿瘡」)という重症型になることが多いため、注意が必要です。
[治療]
抗真菌薬の外用ではかえって悪化してケルスス禿瘡になる場合があるため、必ず経口抗真菌薬を内服します。現在使用されているのはグリセオフルビン、イトラコナゾールとテルビナフィンで、2か月前後で治ります。