顎口虫症(読み)がくこうちゅうしょう(その他表記)Gnathostomiosis

家庭医学館 「顎口虫症」の解説

がくこうちゅうしょう【顎口虫症 Gnathostomiosis】

[どんな病気か]
 顎口虫といわれる寄生虫幼虫によるもので、ライギョドジョウなどの川魚を生(なま)で食べることで感染します。
 顎口虫は体内に入っても成虫とはならず、幼虫が皮膚や皮下組織に入ってあちこちに移動します。そのため、皮膚爬行症(ひふはこうしょう)(症状参照)をおこします。
[症状]
 虫の動きにそって皮膚の腫(は)れが線状にみられます。これが皮膚爬行症です。腫れた部分は赤くなり、熱感とかゆみを感じ、好酸球(こうさんきゅう)という白血球(はっけっきゅう)の一種浸潤(しんじゅん)(しみ出す)してきます。
 ときには幼虫が脳や眼球(がんきゅう)に迷入して、脳炎失明(しつめい)などの重い症状をおこすことがあります。
[検査と診断]
 腫れた部分から幼虫が摘出(てきしゅつ)できれば診断がつきますが、虫の動きが速く、つかまえることがむずかしいため、実際には血清反応(けっせいはんのう)を調べて診断します。
[治療]
 外科的に虫体を摘出できればよいのですが、虫の動きが速く、実際にはむずかしいため、メベンダゾール、チアベンダゾールジエチルカルバマジンなどの薬のほか、抗アレルギー薬や消炎剤が使われます。
[予防]
 ライギョなどの川魚はよく火をとおしてから食べることです。また、ドジョウの「おどりぐい」はやめることです。

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内科学 第10版 「顎口虫症」の解説

顎口虫症(線虫症)

 顎口虫の終宿主イヌ,ネコ,ブタなど哺乳動物であり,その胃壁などで成虫となる.有棘顎口虫Gnathostoma spinigerum,G. hispidum,G. doloresi,G. nipponicum,G. binucleatumの5種類の顎口虫がヒトに感染症を発症する.顎口虫症は顎口虫の幼虫が寄生した中間宿主(ライギョ,フナ,コイ,ドジョウ,ナマズ)を生食することにより感染する疾病である.特に有棘顎口虫は淡水魚類が主要感染源であり,生食習慣のある日本とタイが流行国である.成虫は12.5(10~30)mm大であり頭部に小棘が列状に生えている.ヒトは終宿主ではないため成虫になることができず,幼虫のまま皮下を移動し爬行部位の皮疹・浮腫などの症状(線状爬行疹,creeping eruption)や移動性皮下腫瘤 (mobile erythema)を引き起こす.これらの症状が数日で消退しまた別の場所に発症する.[立川夏夫]
■文献
Farid Z, Patwardhan VN, et al: Parasitism and anemia. Am J Clin Nutr, 22: 498-503, 1969.
Stolk WA, de Vlas SJ, et al: Anti-Wolbachia treatment for lymphatic filariasis. Lancet, 365: 2067, 2005.

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「顎口虫症」の意味・わかりやすい解説

顎口虫症
がくこうちゅうしょう
gnathostomiasis

イヌ,ネコなどに寄生する顎口虫の虫卵が水中で孵化し,ライギョ,ドジョウなどの淡水魚類に食べられ,ヒトがそれを生食することによって感染する。幼虫が皮下に寄生して発病し,皮膚腫脹が現れる。内臓に侵入すると重篤な症状を呈する。治療には虫体摘出が試みられる。

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栄養・生化学辞典 「顎口虫症」の解説

顎口虫症

 各種の動物,特に,淡水魚類の生食により,その筋肉内に潜む,顎口虫類[Gnathostoma spinigerum]の被嚢幼虫を取り込むことにより感染する幼線虫移行症の一つ.

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