食品ロス(読み)ショクヒンロス

  • food loss

デジタル大辞泉の解説

食べられる状態であるにもかかわらず廃棄される食品小売店での売れ残り・期限切れ、製造過程で発生する規格外品、飲食店家庭での食べ残し・食材の余りなどが主な原因フードロス
[補説]日本で年間約1900万トン排出される食品廃棄物のうち500万~900万トンが食品ロスとされる(「平成17年度食品ロス統計調査」等に基づく農林水産省総合食料局の試算より)。

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知恵蔵の解説

まだ食べられるのに廃棄されている食品のこと。製造・流通過程での容器の破損やラベルの印刷ミスなどの規格外品、規格変更による商品の撤去や返品、納品期限切れ、小売店での売れ残り、飲食店や家庭での食べ残しなど、フードチェーンの各段階で発生している。
農林水産省の推計によれば、2015年度に日本で発生した食品ロスは、食品関連事業者から357万トン、一般家庭から289万トンの合計646万トン。これは、飢餓に苦しむ人々に向けた世界の食糧援助量の約2倍に相当し、国民1人当たりに換算すると約139グラム(茶わん1杯分)の食べ物が毎日捨てられている計算になるという。また、国連食糧農業機関(FAO)が11年に発表したデータによれば、世界では人々が消費するために生産されている食料の約3割、13億トンが毎年、損失あるいは廃棄されているという。こうした現状を受けて、国連が15年に採択した持続可能な開発目標(SDGs)では、30年までに「世界全体の1人当たりの食料廃棄を半減させる目標が掲げられた。
将来的な食料不足が懸念され、食品ロスの削減が課題となっており、日本でも削減に向けた取り組みが進みつつある。食品ロスの要因の一つとされる商慣習の見直しや賞味期限延長の試み、データを活用した需要予測の導入、容器包装の改善などのほか、食べきり・使いきりの推進、未利用食品の寄付を受けて食品を必要としている人や施設に提供するフードバンク活動などが実施されている。19年1月には、農林水産省が小売業界に向けて、節分に食べられる恵方巻きが売れ残って大量廃棄されないよう対応を呼び掛けた。

(原田英美 ライター/2019年)

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朝日新聞掲載「キーワード」の解説

国の2016年度推計によれば、日本の食品廃棄物量は年間2759万トンで、うち食品ロスは643万トン(事業系55%、家庭系45%)にのぼる。飢餓に苦しむ世界の人々に向けた国連の食料援助量の2倍近い。SDGsは2030年までに食料廃棄を半減させることを掲げる。日本では昨年10月、食品ロス削減推進法が施行され、国民的な運動の広がりを促している。

(2020-01-17 朝日新聞 朝刊 北海道総合)

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

本来食べられるにもかかわらず、廃棄される食品。食料ロス、フードロスともいわれる。農林水産省の2016年(平成28)調査では、日本で1年間に廃棄される食品由来の廃棄物はおよそ2759万トンあり、このうち食品ロスは643万トンにのぼる。これは国連世界食糧計画(WFP)の援助食糧のほぼ2年分に匹敵する。節分に食べる「恵方(えほう)巻き」の大量廃棄などが社会問題化し、日本では2019年(令和1)に国、自治体、企業、消費者をあげて削減に取り組む食品ロス削減推進法(正式名称「食品ロスの削減の推進に関する法律」、令和元年法律第19号)が施行された。
 国連食糧農業機関(FAO)が2011年に発表した試算によれば、世界で人が消費するために生産されている食料の3割を超える13億トンが、毎年失われ、あるいは捨てられている。食料不足や穀物相場高騰などの懸念が世界的に高まっており、食品ロスをいかに減らすかが大きな課題である。日本の食品ロスは小売店、外食産業、食品メーカーなどの事業系と家庭系とに大別され、事業系ロスが約352万トン、家庭系は約291万トンにのぼる。事業系ロスのおもな原因は、飲食店や旅館・ホテルでの食べ残し、コンビニやスーパーなどの賞味期限前の撤去、製造段階での規格外品などの過剰廃棄がある。とくに、食品メーカーは賞味期限の前半3分の1の期間しか商品を小売店へ納品できず、小売店も賞味期限の前半3分の2の期間しか消費者に販売できないという商習慣「3分の1ルール」があり、これが食品ロス発生の大きな原因となっている。また家庭系では食べ残し、使い残し、賞味期限切れなどによる直接廃棄がロスを生んでいる。いずれも、鮮度を過度に重視する消費行動や商慣習が、食品ロスを増やす要因となっている。
 日本政府は食品ロス削減推進法に基づいて基本方針をつくり、これに沿って地方自治体が削減計画を策定。食品ロスの実態調査、消費者や企業への啓発活動、先進的取組みの顕彰と普及、賞味期限前の未使用食品を貧困家庭などへ贈る「フードバンク活動」支援などに取り組んでいる。ただ同法には罰則などの強制力がなく、実効性が課題となっている。[矢野 武]

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