日本大百科全書(ニッポニカ) 「食品保存料」の意味・わかりやすい解説
食品保存料
しょくひんほぞんりょう
食品添加物のなかで食品に保存性をもたせるのを目的とするグループをいう。食品衛生法で食品添加物として認められている保存料は、2006年(平成18)現在、安息香酸とその塩類、ソルビン酸とその塩類、デヒドロ酢酸ナトリウム、p(パラ)-ヒドロキシ安息香酸の同族体、プロピオン酸とその塩類などの合成保存料と、ウド抽出物、ペクチン分解物などの天然由来のものがある。保存料は食品中の微生物に作用して、発育を抑制する効果をもっている。保存料は人間にとってもなんらかの毒性をもつものなので、その安全性の検討をしたうえで使用基準(対象食品と使用量の制限)が定められている。たとえば、ハムやソーセージに用いられるソルビン酸は製品1キログラムにつき2グラム以下と規定されている。保存料の考え方は、食肉加工品のように腐敗したときの危険性の大きいものに保存効果を示す必要最低量使用するのが原則である。包装食品で、保存料を使用したものの表示は、「保存料(ソルビン酸)」のように用途名と品名の併記が義務づけられている。
みそやしょうゆなどでは保存料を使用せず、エタノール(エチルアルコール)を加えて保存性をよくした製品が出回っている。なお、食品添加物のなかの防かび剤、殺菌料、酸化防止剤も食品の保存性をよくするためのものである。
[河野友美・山口米子]
『谷村顕雄著『食品添加物の実際知識』第3版(1987・東洋経済新報社)』▽『東京都消費者センター試験研究室編『試買テスト・シリーズ4-5 食品中の保存料及び日持ち向上剤等』(1994・東京都消費者センター)』