食品安全委員会(読み)ショクヒンアンゼンイインカイ

デジタル大辞泉 「食品安全委員会」の意味・読み・例文・類語

しょくひんあんぜん‐いいんかい〔‐ヰヰンクワイ〕【食品安全委員会】

食品の摂取や、添加物農薬、動物用医療品、化学物質汚染物質肥料飼料などによる健康への影響を科学的知見に基づき中立公正に評価する機関。7人の委員から構成され、その下に専門調査会を設置する。審議は原則公開。食品安全基本法に基づき平成15年(2003)7月に設置。内閣府に所属。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「食品安全委員会」の意味・わかりやすい解説

食品安全委員会
しょくひんあんぜんいいんかい

食品の安全性を確保するため、国民の健康保護を最優先に、科学的知見に基づいて客観的かつ中立公正に「リスク評価(食品健康影響評価)」および「リスクコミュニケーション」を行う内閣府の機関。BSE牛海綿状脳症)の発生等の事態を受け、2003年(平成15)7月1日に食品安全基本法が施行され、これに基づいて同日に設置された。

 食品安全委員会は「リスク管理機関」(厚生労働省農林水産省、消費者庁、環境省など)から要請を受け、委員会内の専門調査会やワーキンググループでの審議を経てリスク評価をし、その報告書をリスク管理機関に通知、勧告する。これを踏まえてリスク管理機関は基準値や使用基準の設定、規制の管理などを行っている。このように食品の安全を守るしくみ(リスクアナリシス)はリスク管理、リスク評価を軸とし、リスクに関連する要因などについて、消費者や食品関連事業者など関係者の間で相互に情報共有や意見交換をするリスクコミュニケーションから成り立っている。

 食品安全委員会はリスク管理機関とは独立したリスク評価機関であり、7名の委員から構成される。その下に16の専門調査会が設置され、農薬、食品添加物微生物などの危害要因(ハザード)ごとに審議・調査が行われる。また、リスク管理機関からの要請とは別に自ら必要と判断した場合にもリスク評価を行うことができる。リスク評価を行った内容等に関してのリスクコミュニケーションを、意見交換会、食品安全委員会のホームページ、広報誌『食品安全』などを通じて行っており、消費者からの食品の安全に関する質問を電話と電子メールで受け付ける「食の安全ダイヤル」も設置している。

 国際協調として海外のリスク評価機関との連携強化による情報・意見交換を行い、国民の健康にかかわる緊急事態においては速やかに科学的な情報を提供する。2023年(令和5)7月に設立20周年を迎え、新たな技術の開発、コンピュータによる統計的手法や評価手法の改良など、時代の動きを把握しつつ最新の科学に基づくリスク評価に取り組んでいる。

[香西みどり 2024年10月17日]

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「食品安全委員会」の意味・わかりやすい解説

食品安全委員会
しょくひんあんぜんいいんかい
Food Safety Commission

日本国内に流通する食品の安全性を確保するため,安全性が懸念される食品について科学的見地に基づき客観的かつ中立公正な立場からリスク評価を行なう機関。狂牛病や遺伝子組み換え食品など食品の安全にかかわる問題が深刻化し,食に関する消費者の関心や懸念が高まったことから,2003年5月に施行された食品安全基本法に基づき,同年7月内閣府のもとに食品安全委員会が設置された。委員会の構成は,7人の委員,その下に設置される三つの専門調査会 (企画専門調査会,リスクコミュニケーション専門委員会,緊急時対応専門委員会) と添加物,農薬,微生物といった危険要因ごとに分担された 13の専門調査委員会 (評価チーム) ,事務局からなる。食品安全委員会のおもな役割は,(1) ある食品を摂取する場合の,有害な要因が健康に及ぼす悪影響の発生確率と程度を評価し,その結果をもとに講ずべき施策について,内閣総理大臣を通じて関係各大臣に勧告を行ない (リスク評価または食品健康影響評価) ,(2) リスク評価の内容に関して消費者や食品関連事業者など関係者と情報や意見を交換し (リスクコミュニケーション) ,(3) 緊急時において,政府全体として迅速かつ適切に被害の拡大や再発を防止するため,情報の収集,関係各省への対応要請,国民への情報提供を行なう (緊急事態への対応) ことである。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

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