食品安全基本法(読み)ショクヒンアンゼンキホンホウ

デジタル大辞泉 「食品安全基本法」の意味・読み・例文・類語

しょくひんあんぜん‐きほんほう〔‐キホンハフ〕【食品安全基本法】

食品安全性を確保するために制定された法律平成15年(2003)施行内閣府の下に、食品安全委員会設置を定める。牛海綿状脳症BSE)や遺伝子組み換え食品流通など、食の安全に関する社会不安背景に制定された。

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「食品安全基本法」の意味・わかりやすい解説

食品安全基本法
しょくひんあんぜんきほんほう

BSE(牛海綿状脳症)問題や食品添加物、香料の不正使用が社会問題化し、また遺伝子組換え食品が登場するなど、食をとりまく環境が激変するなかで、食品の安全性を守るために制定された法律。2003年(平成15)7月1日施行。平成15年法律第48号。

 この法律では、(1)国民の健康が保護されることがもっとも重要であるという基本的認識の下に、(2)食品供給の行程の各段階において、(3)国際的な動向および国民の意見に配慮しつつ科学的な知見に基づき、食品の安全性の確保のために必要な措置が講じられることを基本理念としており、国や地方公共団体、食品関連事業者の責務と、消費者の役割が示されている。

 この法律に基づき、内閣府に食品安全委員会が設置されている。食品の健康に対する影響を、科学的かつ客観的に評価するために、「リスク評価(食品健康影響評価)」「リスク管理」「リスクコミュニケーション」を組み合わせた「リスク分析」という概念を取り入れているのが特徴である。

 委員会は食品健康影響評価において、食品または食品に含まれる物質中から健康に影響を与える物質を特定し、その性質を定量・定性的に評価する。その上で、その物質の摂取量を勘案し、健康に対する被害を推測するというプロセスをふむ。ただし緊急を要する場合には、必要な措置を講じた後で「評価」を行うこととされている。

[編集部]

『梶井功編『食品安全基本法への視座と論点』(2003・農林統計協会)』

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百科事典マイペディア 「食品安全基本法」の意味・わかりやすい解説

食品安全基本法【しょくひんあんぜんきほんほう】

食品の安全性を確保するために,国・自治体・事業者に総合的施策策定と実施,情報提供の責務などを定めた法律。狂牛病の発生,残留農薬,偽装表示などの問題を背景に,2003年制定。内閣府に設ける食品安全委員会(専門家7人で構成)が食品のリスク評価にもとづき,農林水産省厚生労働省に勧告する。また,食品の安全性に関して消費者・生産者などとの情報交換(リスク・コミュニケーション)も同委員会が担当。従来の食品衛生法などの縦割り行政的な個別法を超える初めての包括的立法である。しかし,食品衛生法も食品安全法も,2011年3月に発生した東京電力福島第一原発の大事故による,放射性物質の大量放出という食品安全の根幹をゆるがす事態に対応しておらず,厚生労働省は緊急措置として,原子力安全委員会が作成した指針をもとに,放射性物資の「暫定基準値」を発表,摂取制限の基準を定めた。指標では,摂取制限すべき放射性物質として,放射性ヨウ素,放射性セシウム,ウラン,プルトニウムなどの4つを選定。そのうえで,食品を(1)飲料水(2)牛乳・乳製品(3)野菜類(4)穀類(5)肉・卵・魚・その他の5項目に分け,それぞれの放射性物質の特性を加味して摂取制限の基準を定めた。食品安全委員会は新たな基準値の策定に向けた議論を進め,厚労省は12年4月から,従来の暫定基準値よりも4〜20倍厳しい新基準値の適用を開始した。

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「食品安全基本法」の意味・わかりやすい解説

食品安全基本法
しょくひんあんぜんきほんほう

平成 15年法律 48号。 2001年から 2002年にかけてのウシ海綿状脳症 BSE騒動を教訓に,農林水産省・厚生労働省の縦割り行政を見直し,食品の安全確保対策の総合的な推進と食品行政への信頼回復とを目的に制定された。内閣府への食品安全委員会の設置を柱とする。委員会は食品添加物や農薬,遺伝子組み換え食品などについて関係機関に意見を述べ,リスク評価 (「食品健康影響評価」) を行ない,内閣総理大臣を通じて関係機関の長に勧告する。

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