雅楽の一種目である東遊(あずまあそび)の一構成部分。その歌を駿河歌という。次第は,笛と篳篥(ひちりき)による短い前奏の駿河歌歌出(うただし)に次いで,句頭(歌の主唱者が兼ねる)の打つ笏拍子(しやくびようし)に和琴が加わり,駿河歌1段が静拍子(非拍節的なリズム)で歌われ,途中で舞人(4または6人)が舞殿に上る。続く駿河歌2段は揚拍子(あげびようし)(拍節的なリズム)で歌われ,駿河舞が舞われる。続く加太於呂志(かたおろし)は,笛と篳篥のみで奏され,舞人は舞殿から下りて袍の右肩を脱ぐ所作をし,そのまま求子(もとめご)を舞う。東遊は《枕草子》に〈まひは,するがまひ,もとめご,いとをかし〉とあるように,平安時代後期には盛んであった。舞人は巻纓(まきえい)の冠に緌(おいかけ)を付け,季節の花を挿頭(かざし)とし,青摺の袍を着て太刀を佩(は)く。
執筆者:田辺 史郎
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報
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